グラムドリング

グラムドリングについて

グラムドリング（Glamdring）は、J・R・R・トールキンの創造した中つ国の中で特に重要な役割を果たす剣の一つです。この剣は第一紀にゴンドリンの王、トゥアゴンのために鍛えられましたが、長い間行方不明となっていました。しかし、数千年後に『ホビットの冒険』の物語の中で、魔法使いガンダルフがトロルの洞穴でこの剣を発見します。このとき、オルクリストやつらぬき丸といった他の名剣と一緒に見つかりました。

剣の歴史と呼称

グラムドリングという名前は、シンダール語で「敵くだき」という意味を持ち、ガンダルフが携えた時にはゴブリンたちから「なぐり丸」とも呼ばれていました。その美しい外観については、鞘は装飾が施され、柄には宝石があしらわれていたとされています。エルロンドはこの剣を見ただけで、かつてゴンドリンの王が所有していたものであると認識しました。

この剣の詳細は『終わらざりし物語』の中でも言及されており、その中でトゥアゴンの剣は「象牙の鞘に収められた白と黄金の剣」として描写されています。ただし、ここで明示的にグラムドリングとは名指されていないものの、同じ剣を指しているのではないかと考えられています。さらに、第三紀の終わりには、ガンダルフがこの剣をアマンの国へ持ち去る可能性が高いとされています。

刻まれたルーン文字

グラムドリングにはルーン文字が刻まれており、映画版の『ホビット』でもこの銘が描かれました。シンダール語のこの銘は「ゴンドリンの王トゥアゴンが振るい、佩き、持ちたる剣グラムドリング、モルゴスの領土の敵、オークを打つもの」と解釈されますが、興味深いことに、トールキンの著作にはこの刻まれた銘は記されていません。

トールキンは『ホビットの冒険』の中で、剣にルーン文字があることを示唆していたものの、他の具体的な記載はなく、映画のために創作されたこの銘は非常に妥当なものであるといわれています。エルロンドがこの銘を見ただけで、トゥアゴンのものであると判断したことからも、その信憑性は高いと思われます。

ただし、興味深い点は、このルーン文字がキアスを用いたシンダール語であったことです。トールキンの晩年のエッセイでは、トゥアゴンがゴンドリンで使用される言語としてクウェンヤを再確立させたと記されています。このことから、刻印された文字はトゥアゴンの時代には既に変化していた可能性があり、エルロンドのように長命のエルフだけがその銘を読むことができたという矛盾が生じます。

剣の特殊な性質

また、グラムドリングは、他のエルフの作った剣と同様に、オークやバルログが近づくと青いまたは白い炎のように輝く性質を持っていました。この性質は、同じくゴンドリンの地で作られたフロドの剣「つらぬき丸」、およびトーリンの剣「オルクリスト」とも共有されています。ただし、映画では「予算の関係」でグラムドリングは光りませんでした。このように、グラムドリングは物語の中で非常に象徴的なアイテムであり、多くの冒険と共にその名を広めました。

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