グランドスラム (柔道)

グランドスラム柔道大会

グランドスラム（Grand Slam）は、国際柔道連盟（IJF）が主催する、国際的に権威ある柔道のトーナメントです。本大会は、世界中のトップ選手が集まり、柔道の最高峰を競う重要な舞台として位置づけられています。

沿革

グランドスラム大会は、2009年にIJFワールド柔道ツアーの一環としてスタートしました。最初に「フランス国際柔道大会」、「ブラジル国際柔道大会」、「ロシア国際柔道大会」および「嘉納治五郎杯東京国際柔道大会」がそれぞれ「グランドスラム・パリ」、「グランドスラム・リオデジャネイロ」、「グランドスラム・モスクワ」、「グランドスラム・東京」と改称され、この大会が他の国際大会よりも格上の位置を占めることになりました。

2013年には「グランドスラム・バクー」が新たに加わり、2014年には「グランドスラム・モスクワ」がチュメニでの開催に変更されました。さらに「グランドスラム・アブダビ」の追加により、年間5回の開催が実現しました。そして、2018年に「グランプリ・デュッセルドルフ」もグランドスラムとして格上げされました。

2018年7月には、IJFがグランドスラム・アブダビでのイスラエル選手の扱いに関して、平等な条件での参加を求めました。その意義が社会的に注目され、最終的にはアブダビ大会は予定通り10月に開催されることが決まりました。

2019年には、ブラジルでのグランドスラム大会が再開され、予想以上の需要が示されました。結局、この年は7大会が行われ、柔道界での活気を示しました。

2022年のウクライナ侵攻

しかし、2022年にロシアのウクライナ侵攻が発生し、これによりIJFはロシアで開催されるグランドスラム・カザンを中止することを発表しました。また、ロシアとベラルーシの選手が中立の立場で大会に参加することを認めたことは、ウクライナ選手から大きな反発を受けました。特にウクライナの選手たちは、ロシア選手の参加に強く反対し、IJFに対して多くの抗議を行いました。

特徴

グランドスラム大会は、世界ランキングのポイントがかかる大会であり、出場選手は一定の条件を満たす必要があります。最低でも、過去2年以内の世界選手権または大陸選手権に出場していることが求められます。主催国からは各階級に4名、他国からは2名までが出場可能です。

この大会は、シード選手が初戦を免除されるシステムも持ち、32名以上の選手が出場する場合に適用されます。準々決勝で敗れた選手は敗者復活戦に進めるため、最後まで競争できるチャンスがあります。

さらに、優勝者には5000ドルの賞金が授与され、2位と3位にも賞金が支給されます。2015年からはメダリストのコーチにも賞金が与えられるようになり、選手の栄光を支えるコーチへの評価が高まりました。

試合はIJFの公式サイトでライブ中継され、全世界の柔道ファンに競技の模様が届けられています。様々な国のトップ選手が集まり、熱い戦いが繰り広げられるグランドスラム大会は、柔道界で最も注目されるイベントの一つです。

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