グランドソフトボール

グランドソフトボールとは

グランドソフトボールは視覚に障害のあるプレイヤーが楽しむために設計された野球スタイルの競技です。以前は盲人野球と呼ばれていましたが、1994年にソフトボールの基本ルールに基づく形で「グランドソフトボール」という名称に変更されました。このスポーツは、特に全盲者のために構築されており、彼らが平等に競い合うための工夫が数多く施されています。

ゲームの基本ルール

この競技では、ハンドボールの一種であるモルテン製のグランドソフトボール3号を使用し、投手がボールを転がしてバッターがバットで打つという形で行われます。各チームは通常の野球よりも1人多い10人で構成され、必ず全盲選手が4名以上いる必要があります。また、投手は必ず全盲者でなければなりません。全盲者はアイシェードによって視覚を遮断し、袖に赤い腕章を付けることによって自らの視覚的な制限を明示します。

近年では、晴眼者が参加できる大会も増えており、視覚障害の有無にかかわらず多くの人々がこのスポーツを楽しむことが可能になっています。 ただし、全国身体障害者スポーツ大会のような公式な場では、身体障害者手帳を持つ選手のみが参加できます。全盲選手がゴロボールをキャッチすると、通常の野球と同様にアウトとされます。

試合の進行

試合は通常90〜120分の制限時間内で行われ、試合時間は大会によって異なることがあります。特に特徴的なのは、バッターランナー用と守備者用のベースが各2つ設置され、攻守それぞれが異なるベースを使用します。全盲ランナーは、ランナーコーチャーが手を叩いたり声を掛けたりして誘導します。

歴史的な背景

グランドソフトボールの歴史は1933年にまで遡ります。横浜公園運動場で、東京盲学校と横浜訓盲院による初の盲人野球試合が開催されました。その後、1951年には全国盲学校野球大会が始まり、1971年には全国盲社会人野球大会が設立されました。

1994年に盲人野球はグランドソフトボールへと名称変更され、同時にルールや特性も整備されてきました。全日本グランドソフトボール連盟も1998年に結成され、地域大会や選手権が行われるようになりました。2016年には全国盲学校野球大会が廃止されましたが、現在も全国障害者スポーツ大会や全日本グランドソフトボール選手権大会などが続いています。

現在の状況と今後の展望

しかし、昨今では少子化の影響で視覚障害者の数が減少しており、競技人口も減りつつあります。各都道府県に存在したチームも、人数不足や高齢化に悩まされています。パラリンピックの正式競技に位置付けられない理由の一つには、競技ルールが国によって統一されていないことが挙げられます。

そのため、今後は既存のチームを合併させたり、新たな競技者を勧誘したりといった活動が求められています。全世界で異なるスタイルの野球が行われている中、ルールの統一が今後の課題となるでしょう。グランドソフトボールがより多くの人に認知され、愛される競技になるための努力が必要です。

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