晴眼者

晴眼者とは？

「晴眼者」とは、視覚に障害がない者を指す言葉です。視覚障害者の対義語として用いられ、眼鏡を使用しても矯正できないほどの視覚障害を持つ人を除く、一般的に視覚に問題がない人全てを包含する概念です。

ただし、近視や遠視、老眼など、眼鏡によって矯正可能な視力低下を抱えている人が多く存在します。これらの視力低下は、日常生活に支障をきたすレベルではない限り、晴眼者として扱われます。例えば、眼鏡を着用することで自動車運転免許を取得できる程度の視力があれば、晴眼者とみなされます。

日常会話では「晴眼者」という言葉はほとんど使用されません。しかし、盲学校への入学基準や、点字図書館における録音図書の利用制限など、特定の場面では重要な意味を持ちます。点字図書館で録音図書の利用が晴眼者に制限されているのは、著作権法において、視覚障害者に対しては、著作権者の許諾を得ることなく点訳図書や録音図書を利用できる権利が認められているためです。聴覚障害者、肢体不自由者、知的障害者は、視覚障害を併発していない限り、晴眼者として分類されます。

国家資格と晴眼者

いくつかの国家資格においては、晴眼者であるか否かが取得の可否、あるいは取得の制限に影響を与えます。

晴眼者のみ取得可能な国家資格

代表的な例として、自動車運転免許と動力車操縦者運転免許が挙げられます。これらの免許は、安全な運転を行うために、ある程度の視力が求められます。視覚に障害のある方がこれらの免許を取得することは、一般的に困難です。

晴眼者の取得が制限される国家資格

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師といった国家資格は、晴眼者の取得が制限される場合があります。特にあん摩マッサージ指圧師については、『あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律』第19条に基づき、晴眼者向けの養成校の認可に関して、盲人のあん摩マッサージ指圧師の生活に支障が出ないよう、国が認可を拒否できる規定があります。このため、昭和39年以降、晴眼者向けのあん摩マッサージ指圧師養成校は認可されていません。一方、はり師、きゅう師の養成校に関しては、このような認可拒否の規定はなく、所定の条件を満たせば養成校を開設できます。

まとめ

「晴眼者」は、日常的にはあまり使われない言葉ですが、特定の法律や制度においては重要な意味を持ちます。視覚障害者への配慮、著作権法の解釈、そして国家資格の取得制限など、多角的な視点から理解する必要があります。特に国家資格に関しては、資格の種類によって、晴眼者にとって取得が容易なもの、制限されるものがある点に注意が必要です。それぞれの資格に関する詳細な情報は、関係省庁や関連団体に確認することをお勧めします。

参考文献

当山啓『新装版 点字・点訳基本入門』産学社、2011年

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