グラード (単位)

グラード：メートル法とともに生まれた角度の単位

グラード(grade)は、角度を測る単位の一つです。18世紀末、フランス革命後のフランスで、メートル法とともに導入されました。角度の単位も十進法にしようという試みでしたが、広く普及することはありませんでした。英語ではゴン(gon)と呼ばれ、グレード(grade)やグラディアン(gradian)という呼び名も存在します。

グラードは、直角（90度）の100分の1です。つまり、円全体（360度）は400グラードとなります。さらに、グラードの100分の1のセンチグラード(cg)や、センチグラードの100分の1のセンチセンチグラード(cc)といった倍数単位も存在します。

換算式は以下の通りです。

1g = 100cg = 0.9度 = 54′ = 3240″ = π/200 rad
1cg = 100cc = 0.009度 = 32.40″
* 1cc = 0.00009度 = 0.3240″

英語圏では、すでにgradやgradeという単位が存在していたため、混同を避けるためにgonという名称が採用されました。ドイツでは「新しい度」を意味するNeugrad、イタリアでは通常の10進体系をgradoと呼ぶため、角度の単位と区別してgrado decimale（10進体系）、grado centesimale（角度の単位、gonまたはgと表記）と呼んでいます。

グラードの利点は、各象限に100グラードずつ割り当てられているため、四象限の認識が容易になる点です。例えば、北を基準にして117グラードの方向にいる場合、左に曲がると17グラード、右に曲がると217グラード、反対方向に向かうと317グラードというように、百の位を変えるだけで簡単に角度を求められます。

一方で、400という数は360に比べて約数が少なく、3で割り切れないため、数学的に意味のある30度や60度をグラードで表すには分数や小数（循環小数）を用いる必要があり、これが欠点と言えるでしょう。

グラードは、一部の国で土地の測量など限られた分野でのみ使用されてきました。フランスの砲兵隊は長年にわたりグラードを使用し続け、フランスの地形図ではパリ基点の経度表示に現在も使用されています。スイスやベルギーでも一部の分野で、度やミルと併記されることがあります。しかし、一般的には、古くから使用されている度や、数学の分野で便利なラジアンの方がよく使われています。多くの関数電卓は、三角関数の計算において、度、ラジアンとともにグラードにも対応しています。

グラードは、メートル法に基づいた角度の単位として提案されましたが、度やラジアンに取って代わられることなく、ニッチな分野でのみ生き残っていると言えるでしょう。その歴史的背景や特徴を理解することは、角度の単位の多様性を知る上で重要です。

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