グリフィス・スタジアム

グリフィス・スタジアム：ワシントンD.C.の歴史を彩った球場

グリフィス・スタジアムは、アメリカ合衆国の首都ワシントンD.C.に存在した、野球ファンにとって特別な場所でした。ここでは、その歴史と特徴を詳しく見ていきましょう。

球場の誕生と変遷

グリフィス・スタジアムの地には、元々1891年からバウンダリー・フィールドという野球場がありました。ワシントン・セネタース（現在ミネソタ・ツインズ）が本拠地として使用していましたが、1900年にリーグが縮小された際に解散。その後、1904年に同じくワシントン・セネタースが、以前の本拠地から設備を移築し、「アメリカン・リーグ・パーク」として再出発しました。しかし、1911年に火災で焼失してしまいます。

シーズン開幕を目前に控え、急ピッチで建設が進められた新球場は、部分的に未完成のまま開場。シーズン半ばに全面完成し、「ナショナル・パーク」と名付けられました。そして1920年、球団オーナーのクラーク・グリフィスの名を取り、「グリフィス・スタジアム」と改称されたのです。

1937年からはNFLのワシントン・レッドスキンズも本拠地として使用し、野球とアメリカンフットボールの兼用球場となりました。ニグロリーグのホームステッド・グレイズの試合も開催され、ワシントンD.C.のスポーツシーンの中心地として賑わいました。

移転と終焉

1950年代に入ると、セネタースの観客動員が減少。球団は移転を検討し、1960年シーズン終了後にミネソタ州へ移転。老朽化が進んでいたグリフィス・スタジアムを、レッドスキンズも1961年からロバート・F・ケネディ・メモリアル・スタジアムへ移転しました。

1961年に誕生した新ワシントン・セネタース（現テキサス・レンジャーズ）が、グリフィス・スタジアムを使用したのも最初の1年のみ。翌年にはロバート・F・ケネディ・メモリアル・スタジアムへ移転し、その後、1965年にグリフィス・スタジアムは取り壊され、跡地にはハワード大学病院が建設されました。

フィールドの特徴

グリフィス・スタジアムは、外野が広くホームランが出にくいことで知られていました。大リーグ球団の本拠地だった41年間のうち、34シーズンで「大リーグの全本拠地の中で一番ホームランが少ない球場」だったという記録が、その特徴を物語っています。

また、外野フェンスがジグザグになっているのも特徴的でした。これは、土地の買収を拒否した5軒の家屋を避けて球場が設計されたためです。このユニークな形状も、グリフィス・スタジアムの個性を際立たせていました。

主要な出来事

1911年4月12日：レッドソックス戦で開場（セネタース 8 - 5 レッドソックス）
1920年5月14日：ウォルター・ジョンソンが通算300勝を達成
1926年4月27日：ウォルター・ジョンソンが通算400勝を達成
1937年7月7日：オールスターゲーム開催（ア 8 - 3 ナ）
1940年12月8日：NFLチャンピオンシップゲームでシカゴ・ベアーズがワシントン・レッドスキンズを73-0で破る
1953年4月17日：ミッキー・マントルが推定飛距離565フィート（約172.2メートル）の本塁打を放つ
1956年7月10日：オールスターゲーム開催（ナ 7 - 3 ア）
ワールドシリーズ開催：1924年、1925年、1933年
* 1961年9月21日：ツインズ戦で閉場（ツインズ 6 - 3 セネタース）

グリフィス・スタジアムは、ワシントンD.C.のスポーツ史に深く刻まれた、忘れられない球場です。数々の名選手や記録が生まれ、多くのファンに愛されたその記憶は、今もなお語り継がれています。

もう一度検索