グリプスホルム城

グリプスホルム城：スウェーデン王室の歴史を刻む古城

[スウェーデン]]南東部、ストックホルム西方60キロにあるマリエフレード近郊。メーラレン湖のほとりに、歴史の重みを感じさせるグリプスホルム城]が静かに佇んでいます。現在では、国立絵画コレクションを収蔵する美術館として知られるこの[[城ですが、その歴史は中世にまで遡ります。

建造から王室の居城へ

1380年頃、ボー・ヨンソンによって要塞として築かれたのが始まりです。ヨンソン一族の所有下にあった城は、1526年、グスタフ1世によって没収されました。グスタフ1世は、城を一度解体し、防衛機能を強化するため、四方に塔と城壁を巡らせた要塞として再建しました。現在見られる城壁の一部は、この時のものと考えられています。中世の要塞としての面影は、ファサードに残る城壁にわずかに見られるのみです。

グスタフ1世以降、グリプスホルム城はスウェーデン王室の所有となり、1713年まで王族の住居として使用されました。エリク14世は、1563年から1567年にかけて、異母弟ヨハンとその妻カタジナをこの城に幽閉しました。さらに、後にスウェーデン・ポーランド王となるシギスムンド3世は、1566年6月20日にこの城で誕生しました。王室の栄華と陰謀が交錯する歴史が、城の石壁に刻まれているかのようです。

監獄から美術館へ

1713年から60年間、グリプスホルム城は監獄として利用されました。その後、1773年、グスタフ3世の時代に城の改修が行われ、劇場が追加されました。グスタフ3世は、この城を、自身の妃のために修繕したと伝えられています。

1889年から1894年にかけて行われた改築工事は、建築家フレデリク・リリエクヴィストによって実施されました。しかし、この改築は賛否両論を呼びました。リリエクヴィストは、17世紀と18世紀に行われた改築部分を一部取り除き、3階建てを増築したのです。この大胆な改修によって、グリプスホルム城は新たな姿へと生まれ変わりました。

現代のグリプスホルム城

今日、グリプスホルム城は、16世紀の調度品をそのまま残す貴重な建造物として一般公開されています。城内には、国立絵画コレクションが収蔵されており、スウェーデン美術史を紐解く上で重要な役割を果たしています。 その歴史的価値と美術コレクションの充実ぶりから、多くの観光客が訪れる人気の観光スポットとなっています。

城内には、グリプスホルム城のライオンと呼ばれる剥製も展示されています。このライオンは、生きている状態を見たことがないまま、紋章にあるライオンを参考に作成されたため、デフォルメされた姿をしているのが特徴です。このユニークな剥製も、グリプスホルム城を訪れる際の楽しみの一つと言えるでしょう。

中世の要塞から王室の居城、監獄を経て、現在の美術館へと姿を変えたグリプスホルム城。その歴史と建築、そしてそこにまつわる数々の出来事は、来訪者を魅了し続けています。

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