グリムエコーズ

グリムエコーズ：童話の世界を彩る、ソロプレイRPGの物語

『グリムエコーズ』（Grimms Echoes）は、スクウェア・エニックスより配信されたスマートフォン向けゲームアプリです。2019年3月28日にサービスを開始し、2021年8月31日にはオンラインサービスを終了。その後、オフライン版へと移行しました。基本プレイ無料（アイテム課金制）のソロプレイ専用RPGとして、多くのプレイヤーを魅了しました。

『グリムノーツ』に続く「童話RPGグリムシリーズ」の第2作である本作は、童話の世界を舞台にした広大な3Dフィールドが魅力です。プレイヤーは、グリム童話やアンデルセン童話などに登場するお馴染みのキャラクターを操作し、自由にフィールドを探索。人々の話を聞き、アイテムを収集、バトルに挑みながら、物語を進めていきます。

ゲームのテーマは「罪」と「選択」。各メルヘンに登場するキャラクターたちと向き合い、絶望に立ち向かう重厚なストーリーが展開されます。ストーリーは大きく二部構成となっており、第一部はキルケゴールとの決戦、第二部はアルビトロとの決戦までを描いています。

2021年8月31日のオンラインサービス終了後、オフライン版へと移行。召喚やショップなどの課金要素は廃止されましたが、サービス終了前と同様に、物語の進行、戦闘、育成を楽しむことができます。オフライン版は、エンディングのある完結したRPGとしてプレイ可能です。

登場人物：おなじみの童話キャラクターたちが織りなすドラマ

本作には、数多くの童話から生まれたキャラクターが登場します。

図書館に所属する人物

エル（主人公）：土岐隼一さん演じる、ジブリールに導かれ「図書館」にやってきた少年。物語の視点人物であり、『グリムノーツ』のコンセプトである「何者でもない存在が何者かに変わる」というテーマを体現するキャラクターです。
ジブリール：斎藤千和さん演じる、「図書館」の司書。数々の物語と世界を収集した「図書館」の維持と物語の保全を使命としています。
シータ：東山奈央さん演じる、「図書館」に古くからいる『空白の書』の持ち主。正体は「シンデレラ」に登場する義姉の一人です。
ウィズ：内田雄馬さん演じる、「図書館」に導かれた青年。
スカーレット：千本木彩花さん演じる、新たに「図書館」にやってきた『空白の書』の持ち主の少女。
マイア：かつての『空白の書』の持ち主。
リシュリュー：かつての『空白の書』の持ち主。

過去に図書館に所属していた人物

キルケゴール：竹内良太さん演じる、物語の住民たちに絶望を自覚させ、物語を虚無へ導こうとする男。その正体は、図書館で反乱を起こした人物であり、マイアとは恋人同士でした。

メルヘンのヒーローたち

白雪姫、毒林檎の王妃、ツヴェルク、ヘンゼル、グレーテル、ファントム、クリスティーヌ、シンデレラ、フェアリーゴッドマザー、赤ずきん、桃太郎、鬼姫、ヨリンデ、ヨリンゲル、アラジン、ゲルダ、カイ、雪の女王（パンドラ）、アリス、時計うさぎ、帽子屋ハッタ、チェシャ猫、ドロシー、マッチ売りの少女、長靴を履いた猫、オーロラ姫、ラプンツェル、ラ・ベル、ラ・ベット、かぐや姫など、多くの童話キャラクターが、それぞれの物語と個性を持って登場します。

その他の登場人物

キング・フルモンティ、ナナシ、グリンダ、アルビトロ、アヴィド、泉の女神アルマなど、物語を彩る個性豊かなキャラクターが数多く登場します。

ゲームシステムと世界観：独特のシステムと重厚なストーリー

『グリムエコーズ』は、単なる童話の世界観を再現したゲームではありません。独自のゲームシステムと、重厚なストーリーが特徴です。

図書館：メルヘンの書を保管している場所。
英雄の本棚：メルヘンの書が収められた本棚。英唱石を使ってヒーローの魂を呼び出せます。
メルヘン：図書館に収められた世界。
空白の書：虚無の回廊に落ちた魂に図書館の司書から渡される本。
想像の栞：空白の書に挟むことでヒーローを召喚できます。
ロールシフト：メルヘンの住人の魂が、次の物語へと繰り返し繋ぐために別の役割へと移行する現象。
漂流者：本来いるべきメルヘンから別のメルヘンに流れ着いた者。
メダル：メルヘンの住人が漂流者となった際に散らばった記憶が形になったもの。
ヴィラン：虚無の回廊にたどりついた魂が怪物となったもの。
ボイド：生き方そのものに疑問を抱いたメルヘンの住民が、自らの絶望から生み出す存在。
イドラ：ボイドが発現者の希望と対峙し、不安定な存在となったもの。
虚無の回廊：メルヘンにおいて「罪」を犯した者が落とされる場所。

これらの要素が複雑に絡み合い、奥深い世界観を作り上げています。

開発秘話：前作『グリムノーツ』からの進化と、開発陣のこだわり

『グリムエコーズ』は、前作『グリムノーツ』からのフィードバックを元に開発されました。『グリムノーツ』ではマルチプレイシステムが合わないという意見が多く寄せられたため、本作はソロプレイに特化。ターゲット層も明確に分けられています。

開発陣は、『グリムノーツ』の世界観と物語を継承しつつ、異なるメッセージを伝えたいと考えていました。シナリオ、キャラクターデザイン、ゲームシステムなど、細部にわたるこだわりが、本作の魅力となっています。

特に、シナリオはフィールド移動などの動作を考慮してテキスト量が調整され、キャラクターの動きを念頭に置いて執筆されました。メインストーリーだけでなく、NPCからのサブクエストも充実しており、世界観やヒーローの背景を深く掘り下げています。

キャラクターデザインにおいても、開発陣のこだわりが光ります。主人公エルのデザインは、あえて特徴のないものにすることで、「何者でもない存在」というコンセプトを表現。一方、ジブリールやキルケゴール、パンドラなどのキャラクターは、それぞれ個性的なデザインとなっています。

敵キャラクターであるボイドのデザインも、単なる怪物ではなく、感情や背景を表現することに苦労したとのこと。元ヒーローであることを示唆するデザインにすることで、より複雑で奥深い世界観を表現しています。

まとめ：忘れがたい、童話の世界と深い物語

『グリムエコーズ』は、美しいグラフィックと重厚なストーリー、そして魅力的なキャラクターたちが織りなす、忘れがたい作品です。童話の世界観を深く理解し、独自のゲームシステムと物語を融合させた、高い完成度を誇るゲームでした。オフライン版では、いつでもどこでもその世界を楽しむことができます。

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