グリン・ジョンズ

グリン・ジョンズ：ロック史を彩る名プロデューサー

グリン・ジョンズ（Glyn Johns、1942年2月15日生まれ）は、イギリスを代表する音楽プロデューサー、レコーディング・エンジニア、そしてミュージシャンです。彼のキャリアは1960年代に始まり、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、ザ・フー、キンクス、スモール・フェイセズ、フェイセズなど、数々の伝説的なロックバンドのレコード制作に深く関わってきました。また、アメリカのミュージシャンとの仕事も多く、国際的な音楽シーンに多大な影響を与えています。

生い立ちと初期のキャリア

サリー州エプソムで生まれたジョンズは、幼い頃から音楽に興味を持ち、15歳でトラディショナル・ジャズに目覚めます。その後、プレジデンツというロック・グループでマネジメントとボーカルを担当。1959年に学校を卒業後、姉の紹介でIBCスタジオに就職し、レコーディング・エンジニアとしてのキャリアをスタートさせました。

1962年、プレジデンツのメンバーからイアン・スチュワートを紹介され、親交を深めます。スチュワートはローリング・ストーンズの創設メンバーであり、ジョンズのキャリアにおいても重要な人物となりました。ジョンズは自伝で、スチュワートを「過去最高の友人」と語っています。

1962年から1965年にかけて、ジョンズは歌手としても活動し、5枚のシングルをリリース。その中には、ビートルズの「アイル・フォロー・ザ・サン」のカバーも含まれていました。

ローリング・ストーンズとの出会いと転機

1966年、ローリング・ストーンズの「レディ・ジェーン」のレコーディング・エンジニアを務めたことが、ジョンズにとって大きな転機となります。彼は同曲を自身のシングルとして吹き込み、スペインで1位を獲得。音楽業界での注目度を高めました。

ビートルズとの関わりと幻のアルバム

1968年12月、ポール・マッカートニーから直接電話を受け、ビートルズのエンジニアとして参加。1969年1月に行われたゲット・バック・セッションでは、レコーディングを担当し、アルバムの編集作業を任されます。ジョンズは15曲入りのアルバム『Get Back』を完成させますが、この編集盤は公式にはリリースされませんでした。しかし、2021年にリリースされた『レット・イット・ビー』スペシャル・エディションのスーパー・デラックス盤に初めて収録され、その貴重な音源を聴くことができるようになりました。

イーグルスとの出会いと成功

1971年、アサイラム・レコードのデヴィッド・ゲフィンからイーグルスのレコード制作を依頼されます。当初は乗り気でなかったジョンズですが、イーグルスのコンサートで「哀しみの我等」のハーモニーを聴き、心を奪われます。プロデューサー兼エンジニアとして3枚目の途中までイーグルスに関わり、彼らの成功に貢献しました。

その他の活動と評価

ジョンズは、他にも多くのアーティストの作品を手がけており、その才能は高く評価されています。2012年には「ロックの殿堂」でミュージカル・エクセレンスを受賞。2014年には自伝『Sound Man』を出版し、2016年にはエリック・クラプトンのアルバム『アイ・スティル・ドゥ』をプロデュースするなど、現在も第一線で活躍しています。

グリン・ジョンズは、その卓越した技術と音楽への深い愛情で、数々の名盤を生み出してきました。彼の仕事は、ロック音楽の歴史において、重要な位置を占めています。

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