グリーゼ440

グリーゼ440（Gliese 440, Gl 440, GJ 440）は、地球から約15光年の距離に位置する白色矮星です。この天体は、核融合反応によるエネルギー生成を終え、残された熱で光を放つ段階にあります。また、WD-1142-645という別名でも知られています。

特徴的なスペクトル

グリーゼ440は、スペクトル型がDQに分類される珍しい白色矮星です。DQ型星は、そのスペクトルに炭素原子や炭素分子の兆候を示すという特徴を持っています。これは、白色矮星としては特異な性質であり、グリーゼ440が他の白色矮星とは異なる進化の歴史を辿った可能性を示唆しています。

近傍の白色矮星

グリーゼ440は、現在知られている中で、シリウスB、プロキオンB、ヴァン・マーネン星に次いで、4番目に地球に近い白色矮星です。これらの白色矮星は、いずれも恒星の進化の最終段階にある天体であり、宇宙における星の終末の姿を研究する上で重要な存在です。

過去の姿

グリーゼ440の現在の質量は、太陽の約0.75倍です。しかし、かつて主系列星であった頃には、太陽の約4.4倍もの質量を持っていたと考えられています。当時のスペクトル型はB4型からB9型であったと推測されており、これは非常に高温で明るい星であったことを意味します。主系列星としての生涯を終えた後、星は漸近巨星分枝星の段階を経て、質量の大半を失い、最終的に白色矮星へと進化しました。白色矮星になってから、約14億年が経過しているとされています。

ウォルフ219運動星団

グリーゼ440は、ウォルフ219運動星団のメンバーである可能性が指摘されています。この星団は、空間運動が類似した複数の天体から構成されており、これらの天体は同じ場所で同時に誕生したと考えられています。ウォルフ219運動星団の候補としては、現在7つの天体が挙げられています。星団全体は、銀河系の中心を潰れた楕円軌道で周回しており、その速度は160km/sに達します。

伴星の探索

ハッブル宇宙望遠鏡を用いた観測では、グリーゼ440の周囲に検出可能な伴星は発見されませんでした。これは、グリーゼ440が単独の白色矮星である可能性を示唆していますが、技術的な限界により、非常に暗い伴星が存在する可能性も完全には否定できません。

グリーゼ440は、その特異なスペクトルや進化の歴史、そして近傍の白色矮星であるという点で、天文学的に非常に興味深い天体です。今後の観測や研究によって、この星の謎がさらに解き明かされることが期待されます。

関連項目

近い恒星の一覧
CC 658

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