グリード (1924年の映画)

映画『グリード』の詳細

『グリード』（Greed）は1924年に公開されたアメリカのサイレント映画で、エリッヒ・フォン・シュトロハイムが監督を務めました。この作品はフランク・ノリスの小説『死の谷 マクティーグ（マクティーグ サンフランシスコの物語）』を原作とし、監督自身はそのテーマを自然主義的視点から捉えています。

制作背景

この映画の撮影は全て実際のロケーションで行われ、特にデスヴァレーでの撮影には多くの時間と労力が掛けられました。特筆すべきは、その撮影に要したフィルムの長さで、元々は85時間以上もの長さがありました。多くのスタッフが体調を崩す中での撮影は、映画制作の厳しさを物語っています。シュトロハイムは、エミール・ゾラの自然主義的要素を取り入れ、運命を環境や遺伝によって決定づけられる人々の様を描いています。

編集の経緯

公開された映画は、実際にはオリジナル版から多くのシーンがカットされたもので、シュトロハイムの意向とは大きくかけ離れた形になっています。制作会社であるゴールドウィン・ピクチャーズがメトロ・ゴールドウィン・メイヤーに合併された後、映画の最終編集はアーヴィング・タルバーグが管理し、大幅な短縮が行われました。オリジナルの約8時間の作品は、約2時間半に編集されてしまい、シュトロハイム自身もこの結果には失望を隠せなかったと言います。

あらすじ

物語は1908年に、カリフォルニアの北斗七星金鉱で働く鉱夫マクティーグを中心に展開します。彼は母親から心配され、偽医者のポッターに託されます。数年後、彼はサンフランシスコで歯医者として成功を収めるものの、親友マーカスの許嫁であるトリナに恋をしてしまいます。最終的にトリナと結婚し、5000ドルの富くじに当たるも、そこから彼らの運命は狂い始めてしまいます。この映画は、彼らの欲望と運命の歯車がどのように狂っていくのかを描いています。

重要なエピソード

カットされたエピソードもあり、特にマクティーグの歯科医院でのクリーンアップ業者マリアの物語や、グラニスとミス・ベイカーのエピソードは、原作には存在しながらも映画では省かれてしまいました。これらの物語は、登場人物たちの複雑な人間関係をさらに深めるものでした。

公開と評価

公開当初、映画は批評家から厳しい評価を受け、興行的にも失敗しました。しかし、1950年代に再評価され、現在では映画史上の重要作品としては認知されています。特に、シュトロハイムがどのように人間の欲望と運命を描いたかが高く評価されており、映画アーカイビストの間では「聖杯」のように扱われています。

復元の試み

現在、オリジナル版のノーカット復元の試みも行われており、シュトロハイムの描いた全貌を知るための重要なプロジェクトとなっています。映画史上最高の作品の一部として、未だ多くの映画ファンに影響を与え続けています。

このように、『グリード』は監督の意向と制作環境の厳しさが交錯した、映画制作の奥深さを感じさせる作品です。

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