グリーレ

グリレ（Sd.Kfz. 138/1）

グリレ（独: Grille）は、第二次世界大戦中にドイツで開発された自走砲の一種であり、そのユニークな設計と用途が特筆すべき点です。グリレは、チェコスロバキアから接収された38(t)戦車の車台に15cm sIG33重歩兵砲を搭載したもので、正式な制式番号はSd.Kfz. 138/1です。この名称の「グリレ」とはドイツ語で「コオロギ」を意味し、英語では「グリーレ」として知られることもありますが、正確にはドイツ語の発音が用いられます。

バリエーションと設計

グリレには主に二つのバリエーションがあります。まずはグリレH型から始めましょう。H型（Ausf. H）は、38(t)戦車H型の車体を流用し、砲塔と上面装甲が撤去された後、オープントップの戦闘室に改装されました。この型が持つ武装は、前任の自走重歩兵砲と同じく15cm重歩兵砲33（15-cm-schweres Infanteriegeschütz 33）であり、重火力を誇りました。最初から自走砲専用シャーシであるK型の量産が予定されていたものの、別のタイプの自走砲が優先されたため、急遽H型が生産される運びとなりました。1943年2月から1944年9月までの間に、チェコのBMM社によって396輌が製造されています。

次に、グリレK型について解説します。K型は、エンジンを中央に配置し、戦闘室を後部に移動した新しい設計の自走砲専用シャーシを使用した本格的な生産型です。このK型と前のH型は併行して生産され、設計上の違いにより運用や装甲が異なります。K型は、H型と同じく15cm砲sIG 33を搭載し、量産型では車体前面装甲の厚さが初期の15mmから20mmへと強化されました。また、1943年12月から1944年9月にかけて282輌が完成した他、弾薬輸送車も93輌製造されました。この弾薬輸送車は、必要に応じて自走砲に改修することが可能でした。

運用と配備

グリレの両バージョンは、主に装甲師団および装甲擲弾兵師団の重歩兵砲中隊に配属されました。各中隊は、戦闘のニーズに応じて6門のグリレを運用し、戦場での効果的な火力支援を行う役割を担っていました。これにより、目的とする敵に対して強力な砲火を提供することが可能になり、戦闘の流れを左右する一助となったのです。

登場作品

グリレはその特異なデザインや重火力から、いくつかのメディアや作品にも登場しています。特に、WWII Vehiclesなどの資料では、その形状が紹介されています。さらに、戦史や軍事モデルにおいても多くのファンに愛されています。

まとめ

グリレは、第二次世界大戦の中でのドイツの技術と戦略を反映した自走砲です。その独自の構造や運用方法は、戦闘において重要な役割を果たしました。今後の歴史的な分析や軍事研究においても、この自走砲の特性を理解することは重要なテーマとなるでしょう。

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