グレイト・ホワイト

グレイト・ホワイトは、1980年代後半から1990年代初頭にかけてアメリカで人気を博したハードロックバンドです。LAメタルシーンから頭角を現し、ブルースに根差した音楽性で独自の地位を確立しました。

バンドの歴史

1978年、ヴォーカリストのジャック・ラッセルとギタリストのマーク・ケンドールを中心に、ダンテ・フォックスというバンドがロサンゼルスで結成されました。1982年にグレイト・ホワイトと改名し、1983年に自主制作のミニLPでデビュー。バンド名はホホジロザメに由来し、初期のアルバムジャケットにはサメが描かれていました。

1984年に最初のフルアルバムを発表しますが、セールスは振るわず、レコード会社との契約を打ち切られてしまいます。しかし、1986年に発表した2作目のアルバム『ショット・イン・ザ・ダーク』が成功を収め、バンドは復活。LAメタルとは一線を画し、ブルースを基盤としたハードロックバンドへと転身を図ります。

1987年には、3作目のアルバム『ワンス・ビトゥン』が全米23位を記録するヒットとなり、バンドの人気を決定づけました。続く1989年発表のアルバム『...トゥワイス・シャイ』、1991年発表の『フックト』もそれぞれ全米9位、18位とヒットを記録。『ロック・ミー』やイアン・ハンターのカバーである『ワンス・ビトゥン・トゥワイス・シャイ』などのシングルヒットも生まれ、1990年にはグラミー賞にノミネートされました。

1990年代中盤以降は、セールスこそ伸び悩みましたが、コンスタントに活動を続けました。レッド・ツェッペリンのカバーを収録したライブアルバムや、ナイト・レンジャーのジャック・ブレイズをプロデューサーに迎えたアルバムも制作しています。

悲劇的な事故と再結成

2000年、ジャックを除くメンバーが脱退し、オリジナルメンバーによるグレイト・ホワイトとしての活動は休止状態となります。ジャックは「ジャック・ラッセルズ・グレイト・ホワイト」としてソロプロジェクトを開始しますが、2003年2月20日、ツアー先のロードアイランド州のナイトクラブで、ステージ演出で使用した花火が原因で火災が発生。この事故で、ギタリストを含む100名もの犠牲者を出すという痛ましい出来事がありました。

事故後、バンドはしばらく活動を休止していましたが、2006年に1999年当時のメンバーで再結成。2007年には8年ぶりのオリジナルアルバム『バック・トゥ・ザ・リズム』を発表し、2009年にはアルバム『ライジング』を発表して完全復活を果たします。

その後の活動とメンバーチェンジ

2009年、ジャック・ラッセルが怪我の治療のため脱退。バンドはジェイニー・レインやポール・ショーティノをボーカルに迎えツアーを継続します。ジャックは回復後、再び「ジャック・ラッセルズ・グレイト・ホワイト」を結成。残ったメンバーは元XYZのテリー・イルスをボーカリストに迎え、2012年には新ラインナップによるアルバム『イレイション』を発表しました。2018年には、ボーカリストがミッチ・マロイに交代しています。

2024年8月15日、初代シンガーのジャック・ラッセルが死去。

音楽性と影響

グレイト・ホワイトの音楽性は、ブルースを基盤としたハードロックが特徴です。ジャック・ラッセルのハスキーで力強いボーカルと、マーク・ケンドールのブルージーなギタープレイが、バンドのサウンドを特徴づけています。レッド・ツェッペリンからの影響も公言しており、ライブアルバムでは彼らの楽曲をカバーしています。

グレイト・ホワイトは、LAメタルシーンの中でも異彩を放ち、独自の音楽性で多くのファンを魅了しました。彼らの音楽は、現在も多くのハードロックファンに愛され続けています。

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