グレイハウンド (犬種)

グレイハウンド：多様な犬種の探求

グレイハウンドは、その俊足と洗練された外見で知られる狩猟犬の一種です。古くからウサギなどの小動物を狩るために用いられ、その美しい姿からヨーロッパでは貴族に愛されてきました。本記事では、グレイハウンドタイプの犬種に焦点を当て、その多様な種類と歴史、現状について解説します。

グレイハウンドの起源と進化

グレイハウンドの起源は非常に古く、その祖先は紀元前のエジプトに存在した犬種であるチズム（Tesem）であると言われています。その後、各地で独自の進化を遂げ、様々なグレイハウンド犬種が誕生しました。アフリカに存在するグレイハウンドタイプの犬種は、イギリスやスペインから渡来した犬が土着化したものと考えられています。

グレイハウンド犬種一覧

以下に、代表的なグレイハウンド犬種を紹介します。

イングリッシュ・グレイハウンド: 最も一般的なグレイハウンドで、単に「グレイハウンド」と呼ばれることもあります。世界中で人気があり、日本でも飼育されています。
アラビアン・グレイハウンド: スルーギとも呼ばれ、北アフリカ原産です。
アングロ＝スパニッシュ・グレイハウンド: スペイン原産で、レース用にイングリッシュ種とスパニッシュ種を交配して作出されました。
イタリアン・グレイハウンド: イタリア原産の小型愛玩犬で、日本でも人気があります。
エンシェント・グレイハウンド: チズム（Tesem）とも呼ばれる古代犬種で、グレイハウンドの祖先と言われています。現在は絶滅していますが、復元プロジェクトが存在します。
オーストラリアン・グレイハウンド: カンガルー・ドッグとも呼ばれ、オーストラリア原産です。
グリーシャン・グレイハウンド: ギリシャ原産の絶滅した犬種で、イングリッシュ種の先祖であると言われています。
グリーク・グレイハウンド: グリーク・サルーキとも呼ばれ、ギリシャ原産です。
クレタン・グレイハウンド: クレタ島原産の希少な犬種で、クリニコ・イフニラティスとも呼ばれます。
ザンジバル・グレイハウンド: ザンジバル原産の犬種で、絶滅寸前です。
シチリアン・グレイハウンド: チルネコ・デル・エトナとも呼ばれ、シチリア島原産です。
シルック・グレイハウンド: スーダン原産の犬種で、絶滅の危機に瀕しています。
スパニッシュ・グレイハウンド: スペイン原産で、長毛と短毛のタイプがあります。
ディンカ・グレイハウンド: スーダン原産の希少犬種で、パリア犬に近い外見をしています。
ビシャリン・グレイハウンド: スーダン原産の犬種で、スピッツタイプとパリアタイプの血を引いています。
ブラジリアン・グレイハウンド: ブラジル原産で、生存状況は不明です。
ポーリッシュ・グレイハウンド: ポーランド原産で、イングリッシュ種よりも大型です。
ポツダム・グレイハウンド: ドイツ、イタリア原産の絶滅した犬種で、愛玩犬として作出されました。

ドッグレースを巡る倫理的な問題

一部のグレイハウンドはドッグレースに使役されていますが、動物虐待であるとして禁止を求める動物愛護団体と、グレイハウンドの本能を満たすためにレースを続行すべきとする主催者側の間で意見が対立しています。この問題は、犬種としてのグレイハウンドのあり方を考える上で重要な課題となっています。

グレイハウンドの現状と未来

現在、多くのグレイハウンドはペットやショー用として飼育されていますが、一部の地域や原産国では実猟犬として飼育されているものも存在します。これらの犬種は希少価値が高く、珍重されています。グレイハウンドの未来は、その多様な特性を理解し、それぞれの犬種に適した環境を提供することで、より豊かなものになるでしょう。

参考文献
『デズモンド・モリスの犬種事典』（誠文堂新光社）デズモンド・モリス著書、福山英也、大木卓訳 誠文堂新光社、2007年

関連項目
犬の品種一覧
* グレイハウンド・ドッグ - カクテルの一種。

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