グレイバック級潜水艦

グレイバック級潜水艦の詳細

グレイバック級潜水艦は、アメリカ海軍に属する潜水艦の艦級であり、特に戦略攻撃用として重要な役割を果たしました。本級の最大の特徴は、アメリカ海軍で初めて巡航ミサイルを搭載した潜水艦である点にあります。この潜水艦は、1950年代に開発されたレギュラス巡航ミサイルを発射する能力を持つために設計されました。

開発の背景

1946年からアメリカでは、レギュラス巡航ミサイルの開発が開始されました。このミサイルは、核弾頭を搭載でき、潜水艦からの発射を考慮して設計されました。当初は地上発射を前提としていましたが、潜水艦からの発射能力が期待されるようになり、潜水艦の新たな設計が求められることとなりました。

1950年代に入ると、実用化が見えてきたため、巡航ミサイルを搭載可能な潜水艦の建造を決定しました。ここで求められたのは、大口径のミサイル発射機を備えた潜水艦であったため、タング級潜水艦をベースに改設計されることになりました。このようにして誕生したのがグレイバック級潜水艦です。

システムと能力

一番艦となるグレイバック（SSG-574）は1957年に就役しました。この艦は、特徴的な空気抵抗を減らすために円筒形のミサイル倉を2基搭載しており、それぞれにレギュラス巡航ミサイルを装填できます。具体的には、レギュラスIに関しては最大4発、開発が中止されたレギュラスIIでは最小2発を搭載可能でした。ミサイルの発射に際しては、艦は浮上し、ランチャーを展開する必要がありました。

しかし、1960年頃には、ポラリス潜水艦発射弾道ミサイルが採用されることになり、グレイバック級の戦略的意味合いは薄れることとなりました。ポラリスの登場によって、グレイバック級は戦力としての価値が落ち、他の用途に転用されることとなります。

同型艦

この艦級には、2隻の同型艦が存在します。
1. グレイバック (USS Grayback, SSG-574)：1958年3月7日に就役し、1984年1月15日に予備役に編入。その後、1986年4月13日にはスービック湾近海で標的として撃沈処分されました。
2. グロウラー (USS Growler, SSG-577)：グロウラーは1958年8月に就役し、1980年8月に除籍されましたが、1988年9月29日からはイントレピッド海上航空宇宙博物館にて記念艦として一般に公開されています。

まとめ

グレイバック級潜水艦は、冷戦時代のアメリカ海軍の重要な戦略兵器の一つとして、核攻撃の選択肢を提供しました。その後のミサイル技術や戦略の進化によって、その役割は変化しましたが、歴史の中で重要な意義を持つ艦級であったことは間違いありません。

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