グレイブ

グレイブは、槍の穂先を剣状にしたような形状を持つ棹状武器で、中世ヨーロッパで用いられた薙刀の一種です。グレイヴと表記されることもあります。

概要

グレイブは、鋭く大きな剣状の刃を持つため、突くだけでなく、切りつけたり、振り回したりするのにも適しています。しかし、穂先に幅があるため、通常の槍（スピアー）と比較すると、やや重量があります。

グレイブの語源は、ラテン語の「グラディウス（gladius）」であるとされ、13世紀頃から使用されるようになりました。16世紀になると、儀礼用としても用いられるようになり、見栄えの良い大きな刃と豪華な装飾が施されたものが増えました。

ファルシオンに長い柄を取り付けたものがグレイブであるという見解もあります。

また、18世紀末のフランス革命時、農民や庶民が牛刀や洋出刃などの肉切り包丁を棒の先に付けて作った簡易的な薙刀もグレイブと呼ばれました。その後、ナポレオン軍内で農民から有志を募った義勇軍（後に正規軍化）でも、さらに大型化・改作されたものが用いられました。

これらのグレイブは、いずれも日本の薙刀に似た大きな刃を持つ形状の長柄武器です。西洋の書籍では、日本の薙刀をグレイブの一種として分類して紹介しているものもあります。

刀身の背の部分に鉤を設けているグレイブもあり、このような鉤や鍔をつけたものは、フォチャード（英語: fauchard）、フォシャール（フランス語: fauchard）と呼ばれます。また、装飾を施した儀礼用のものには、クーゼ（ドイツ語: kuse）があります。

グレイブは、その形状と用途から、槍、剣、斧などの特性を兼ね備えた汎用性の高い武器であり、中世ヨーロッパの戦場において重要な役割を果たしました。

関連項目

槍#欧州由来の槍及び長柄武器〜中世以降〜（ポールウェポン）
ポールウェポン
薙刀
ハルバード
戦鎌
大刀 (中国の武器)
* 矛

もう一度検索