グレイホーク

グレイホーク (Greyhawk) の世界

グレイホークは、「ワールド・オブ・グレイホーク」とも呼ばれ、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(D&D) のために作られた架空のキャンペーンセッティングです。ゲイリー・ガイギャックスによって創造され、D&Dの発展と最も密接に関わってきた世界として知られています。

グレイホークの誕生と初期の展開

1960年代末、ゲイリー・ガイギャックスは、自身のゲームクラブでミニチュア・ウォーゲームにファンタジー要素を取り入れ始めました。1971年には、『チェインメイル』という戦闘ルールを共同執筆し、魔法やモンスターのルールを追加しました。同時期、デイヴ・アーンソンもナポレオニック・ウォーゲームにロールプレイングの要素を取り入れ、ブラックムーアというダンジョン探索ゲームを開発しました。ガイギャックスはアーンソンのゲームに触発され、自身の城であるグレイホーク城の下にあるダンジョンをデザインしました。これがグレイホークの始まりです。初期のプレイヤーはガイギャックスの子供たちや友人たちで、彼らはダンジョンを探索し、モンスターと戦い、財宝を発見しました。その後、グレイホーク市が作られ、プレイヤーたちはそこで財宝を売り、休息できるようになりました。

ホーム・キャンペーンの時代 (1972年～1979年)

ガイギャックスは、ダンジョンズ&ドラゴンズのルールを開発・出版する傍ら、グレイホーク城のダンジョンと周辺地域を個人的にデザインし続けました。プレイヤーたちが街の外の世界を探索し始めると、ガイギャックスは彼らのために他の地域や都市を作成しました。グレイホーク市とグレイホーク城は、彼の出生地であるシカゴの近くに配置され、他の様々な場所はその周りに配置されました。ガイギャックスはダンジョンの開発も続け、13階層からなる複雑な迷宮を作り上げました。このダンジョンは、罠、秘密の通路、モンスター、財宝で満たされていました。

グレイホークの重要なキャラクターたち

グレイホークのホーム・キャンペーンには、多くのプレイヤーが参加し、様々なキャラクターが生まれました。その中でも、特に有名なキャラクターを以下に紹介します。

マーリンド: ドン・ケイが作成したキャラクターで、プレイヤーが創造的な名前を付ける試みの最初のものでした。
ロビラー: ロブ・クンツが所有するファイターで、グレイホーク市の緑竜亭の秘密の所有者でした。グレイホーク・ダンジョンの最下層に最初に到達しただけでなく、9柱の半神を解放する責任も負いました。
テンサー: ガイギャックスの息子アーニーが演じる魔法使いで、グレイホーク・ダンジョンの最下層に到達した2人目のキャラクターです。
イラグ: ガイギャックスがクンツを共同DMにした後、彼が作成した最初のキャラクターです。
* モルデンカイネン: ガイギャックスの最も有名なキャラクターであり、彼のお気に入りでもありました。

グレイホークの出版と展開

1976年、ガイギャックスはサイエンスフィクション作家のアンドレ・ノートンに、グレイホーク世界でD&Dをプレイするよう誘いました。ノートンはその後、「クアグ・キープ」を執筆しました。これはグレイホークを舞台とした最初の小説です。1980年には、「ザ・ワールド・オブ・グレイホーク」フォリオ版が出版されました。これはグレイホークの地理、歴史、政治に関する情報を提供するものでした。1983年には、拡張されたボックスセットが出版され、より詳細な情報が提供されました。しかしその後、ガイギャックスがTSRを去ったため、グレイホークの開発は停滞しました。

ウィザーズ・オブ・ザ・コーストによるグレイホークの復興

1997年、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストがTSRを買収し、グレイホークの復興に取り組みました。1998年には、「グレイホーク・プレイヤーズガイド」が出版され、新たなキャンペーン・セッティングが導入されました。2000年には、「リビング・グレイホーク」という大規模共有のリビングキャンペーンが開始され、多くのプレイヤーがグレイホークの世界を楽しむようになりました。しかし、2008年にダンジョンズ&ドラゴンズの第4版が発売されると、グレイホークは既定のキャンペーン・セッティングではなくなり、「リビング・グレイホーク」も終了しました。

グレイホークの非公式情報源

ゲイリー・ガイギャックスとロブ・クンツは、グレイホーク城の下にあるダンジョンに関するオリジナルなメモを所有していました。ガイギャックスは、ザギグ城というダンジョンの出版に取り組んでいましたが、2008年に亡くなりました。ロブ・クンツは、グレイホーク城ダンジョンから独創的な作品をいくつか出版しました。

グレイホークは、D&Dの歴史において重要な役割を果たしてきた架空の世界です。その誕生から発展、そして様々な変遷を経て、ゲーム界に多大な影響を与え続けています。今後も、多くのファンによって愛され、語り継がれていくことでしょう。

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