グレゴリウス3世 (ローマ教皇)

グレゴリウス3世は、731年から741年まで在位した第90代ローマ教皇です。彼の時代は、東ローマ帝国との聖像破壊運動を巡る対立や、ランゴバルド王国によるイタリア侵略など、教会にとって非常に困難な時期でした。

生涯

グレゴリウス3世はシリア出身で、教皇に選出される前は司祭を務めていました。731年2月11日にグレゴリウス2世が亡くなると、同年3月18日に民衆の支持を受けて教皇に選ばれたと伝えられています。

グレゴリウス3世の時代は、前教皇グレゴリウス2世から続く聖像破壊運動（イコノクラスム）をめぐる東ローマ皇帝レオーン3世との対立が深刻化していました。レオーン3世は聖像崇拝を禁止し、これに反発したローマ教会との関係は悪化の一途をたどりました。

さらに、732年にはランゴバルド王国のリウトプランド王がイタリアへの侵攻を再開し、ラヴェンナを占領するなど、教皇の地位そのものが危機に瀕しました。ランゴバルド王国は、イタリア北部に勢力を拡大し、ローマ教皇領を脅かす存在となっていたのです。

グレゴリウス3世は、この危機を打開するためにフランク王国に援軍を要請しました。しかし、当時のフランク王国はランゴバルド王国と同盟を結び、イスラム勢力との戦いに注力していたため、教皇の要請に応じることはできませんでした。フランク王国の支援を得られなかったことは、グレゴリウス3世にとって大きな痛手となりました。

事態を打開することができないまま、グレゴリウス3世は741年11月28日に亡くなりました。在位期間は10年8か月と10日でした。彼の死後、非ヨーロッパ出身の教皇は、2013年に就任したフランシスコ教皇まで、1271年間現れませんでした。

グレゴリウス3世の時代は、教会にとって内外の危機が重なった困難な時期であり、彼の在位は教皇権の維持と安定に苦慮した時代として記憶されています。

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