グレネルグ・トラム

グレネルグ・トラムとは

南オーストラリア州アデレードにあるグレネルグ・トラムは、アデレード・メトロが運営する唯一の路面電車です。1958年に市内の路面電車網が廃止されて以来、この路線だけが存続しています。

歴史

民間企業から公営化へ

グレネルグ・トラムの歴史は1873年に遡ります。最初はグレネルグ・サブアーバン鉄道として開業し、蒸気機関車が客車を牽引していました。1882年にはホールドファスト・ベイ鉄道と合併し、新たなグレネルグ鉄道となりましたが、1889年に南オーストラリア鉄道に吸収されました。

1927年、南オーストラリア鉄道が保有していた路線は地方都市路面信託（MTT）に移管され、1929年に電化して再開業。以降、グレネルグ・トラムは地域の重要な交通手段となりました。

近代化と路線延長

2003年には州政府が55億AUドルを投じて近代化プロジェクトを発表。2005年には全線が運休し、超低床電車の導入や電停の改修が行われました。2006年には新型車両100形が登場し、2007年には初の路線延伸が実施されました。

2010年と2016年にはさらに路線拡張計画がありましたが、交通の障害で開業は遅れています。2022年にはフェスティバル・プラザ方面が祝日のみ運行されています。

運行ダイヤ

2018年現在、グレネルグ・トラムには平日、土曜、日曜・祝日の3つのダイヤが存在します。特に、エンターティメント・センター電停からモーズリー・スクエア電停への運行が多く、アデレード市内の一部区間は無料で利用できる点が特徴です。

車両の種類

H形電車

1929年に電化開業と同時に導入されたH形電車は、長年グレネルグ・トラムの主力として活躍しました。全長17メートルの長大な車体を持ち、1990年には一部がレストランカーに改造されるなどの歴史があります。

100形（フレキシティ・クラシック）

2006年から営業を開始した100形は、超低床設計の3車体連接式電車で、アデレードにとって新しい時代の到来を象徴しています。

200形（シタディス）

路線延長に伴い、200形が導入されました。この5車体連接式の電車は、もともとスペインのプロジェクトに計画されていたもので、後にグレネルグ・トラムに譲渡された経緯があります。

まとめ

グレネルグ・トラムは、その長い歴史と進化を経て、現在もアデレードの重要な交通手段として親しまれています。これからも地域の交通の一翼を担い続けることでしょう。

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