グレートレース

グレートレース（The Great Race）

『グレートレース』は、1965年にアメリカで製作されたドタバタコメディ映画です。監督はブレイク・エドワーズが務め、同年のアカデミー賞音響効果賞を獲得しています。この映画は、1908年に実際に行われたニューヨークからパリまでの自動車レースを元に展開され、22,000マイル（約35,000キロ）にわたる過酷な旅が描かれています。特に、映画史上最大のパイ投げ合戦シーンは大きな話題となり、サイレント映画の技法やギャグが多用されている点も特徴的です。

主演にはトニー・カーティス、ジャック・レモン、ナタリー・ウッドが起用されており、カーティスとレモンは『お熱いのがお好き』で共演した経験があります。また、カーティスとウッドは『求婚専科』でも一緒に演じています。さらに、後に「刑事コロンボ」として知られるピーター・フォークも悪役として登場し、コメディの要素を強調しています。

あらすじ

物語は1908年、20世紀の幕開けを迎えた時代に始まります。冒険家グレート・レスリー（トニー・カーティス）は、数々のスピード記録を打ち立て、名声と富を手に入れていました。しかし、彼にはライバルのフェイト教授（ジャック・レモン）がいて、彼はレスリーに対抗するために様々な策を講じますが、いつも失敗の連続です。

レスリーが巨大な気球で飛ぶと、フェイトは助手のマックス（ピーター・フォーク）と共に妨害を試みますが、失敗に終わります。レスリーはアメリカの自動車業界において、ニューヨークからパリまでの一大レースを提案します。これに対抗する形で、フェイトは独自に「ハンニバル8号」という超豪華な車を開発し、様々な妨害を行います。一方、新聞記者のマギー・デュボア（ナタリー・ウッド）は、自らこのレースの取材を行うことを決意します。彼女は自らの車でレースに参加し、優勝を目指します。

やがて、レースが幕を開けると、フェイトによる妨害工作が次々と行われますが、彼自身がその被害にあう場面も見られます。レスリーとマギーは途中で出会い、共にレースを進めていきます。彼らの車は、様々なトラブルに見舞われながらも、友情と恋愛の絡み合いを織り交ぜて競い合います。

ハイライト

特に注目すべきは、パリ到着目前の大混乱です。レスリーは、レースの最中にマギーへの愛を証明しようと車を止めてキスをし、結果的にフェイトが先にゴールし勝利を収めることになりますが、そこにはさまざまな駆け引きやドタバタ劇が展開されます。そして、映画の最後では、再びレースが繰り広げられ、新婚のレスリーとマギー、フェイトとマックスが再出発するというユーモアあふれる結末を迎えます。

エピソードと技術的見どころ

映画制作の際、ブレイク・エドワーズ監督は昔のニッケルオデオン時代の映画上映の様子をオープニングで表現しており、観客の反応やフィルムの技術的トラブルを象徴的に描いています。また、映画の中でのキャラクターたちは、善玉と悪玉として明確に描かれており、カーティスは白色の衣装に対して、レモンは黒色の衣装で対比を持たせています。

特にパイ投げ合戦のシーンでは、約5,000個の本物のパイが使用され、鮮やかなカラーで描かれるその様子は、この映画の大きな見所です。多様な自動車と仮想サービスもストーリーに色を添え、特異なユーモアと道具立てが観客を楽しませます。

この映画は、コメディに満ち、同時に愛や友情、勝負をテーマにしている点でも多くのファンに愛されている作品です。

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