グレート・ウェスタン鉄道2301形蒸気機関車

グレート・ウェスタン鉄道2301形蒸気機関車

グレート・ウェスタン鉄道2301形蒸気機関車（別名ディーン貨物形）は、イギリスのグレート・ウェスタン鉄道（GWR）が製造したテンダー式の蒸気機関車です。GWRの客貨両用標準機として1919年までに260両が製造され、その車輪配置は0-6-0です。本形式の特徴は、内部フレームのみを用いていた先代の伝統を破り、ボイラー設計に改良が加わった点にあります。

製造は1883年から始まり、スウィンドン工場で行われました。この時、ウィリアム・ディーンの設計に基づいて280両が製作され、番号は2301から2580まで付けられました。最初の20両については、従来のドーム型ではなくアウトサイドフレームが採用されていましたが、その後はドーム型ボイラーとインサイドフレームに変更されました。2361形など視覚的に似た機関車も存在しますが、外枠を持つか否かがその違いです。

2301形機関車は、貨物運搬を主な役割としていましたが、その一部は旅客サービスにも使用されるなど、多彩な働きを見せました。戦時中には特にその重要性が増し、第一次世界大戦では62両がイギリス軍鉄道事業部に引き継がれ、フランスで使用されました。戦後、一部はオスマン鉄道に売却され、改番されることになります。

第二次世界大戦中には更に多くの2301形機関車が軍に接収され、接収された79両のうち一部はフランスで使用されました。戦後、これらの機関車の中には中国へ送られたものや、英国内で士兵や物資の輸送に使用されたものもあり、その活躍の幅広さが伺えます。特に、イタリア国鉄に譲渡された機関車は1950年代中期まで活躍したことが知られています。

1948年には、54両の機関車がイギリス国鉄に引き継がれました。軸重が軽かったため、主にウェールズの支線で運行されることとなりましたが、徐々に運用数は減少し、最終的には1950年代にほとんどが廃車されました。その中で、2516号は特別に保存され、鉄道ファンにとっての貴重な歴史的遺産となっています。2516号は1897年に製造され、あらゆる時代の変遷を見守ってきたため、歴史的意義が大きい機関車の一つです。この機関車は1956年に廃車されるまで、幾度となく改良されながらも一般に運行される姿が見られました。

グレート・ウェスタン鉄道2301形蒸気機関車は、その製造から運用に至るまで多様な背景を持ち、戦時下でも重要な役割を果たしました。鉄道史の中でも特に重要な存在であり、その功績と歴史は今も多くの鉄道ファンの心に残っています。

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