グレート・ウェスタン鉄道4000形蒸気機関車

グレート・ウェスタン鉄道4000形蒸気機関車

グレート・ウェスタン鉄道（GWR）の4000形蒸気機関車は、イギリスの鉄道史の中で重要な位置を占める急行旅客列車用のテンダー式蒸気機関車です。この機関車は、各車両の固有名から「スタークラス」という別名でも知られています。4000形の特徴的な軸配置は、4-6-0（テンホイラー）です。

概要

4000形蒸気機関車の起源は、1906年にGWRの機関車総監督であったジョージ・チャーチウォードによって試作されたアトランティック型機関車「ノース・スター」号にまで遡ります。この機関車は1909年に4-6-0型に再設計され、新たに4000番が付与されました。この設計は、GWRの4気筒タイプの急行機関車として初めてのもので、後に「Castleクラス」にも組み込まれることとなります。

「ノース・スター」は、複式4気筒構造と単式4気筒構造の性能を比較する目的で設計され、最終的にはチャーチウォードの単式4気筒方式が採用されました。2900形から派生した本形式は、1907年から1914年までの間に72両が製造され、さらなる改良が行われました。機関車は、星、騎士、女王、王子、王女、修道院などの名称が付けられましたが、一部は戦争によって改名されることもありました。

1925年から1929年の間には、5両がキャッスルクラスとして改造され、その後も4063-4072の番号を持つ機関車がキャッスルクラスに編入されました。

設計

「ノース・スター」の設計は、セイント級に強く影響を受けていますが、独自の弁装置が多くの部分を更新しています。具体的には、内側2気筒をワルシャート式弁装置で駆動し、両方の弁装置をロッキングレバーで連動させます。この設計によって、弁装置を簡素化しながらも多気筒化を実現しています。

この機関車では、シリンダーの直径が381mm、行程が660mmに設計されており、セイント級に比べてストロークは100mm近く短くなっています。気筒の配置も進化しており、内側の気筒は車軸との干渉を避けるためにフロントデッキに設置され、外側の気筒は配置を工夫して設置されています。

量産と製造

4000形蒸気機関車の量産は、1907年から第一次世界大戦の影響を受けつつ1922年までに行われ、72両がスウィンドン工場で製造されました。試作車の「ノース・スター」号も1909年に大改造され、最終的にトップナンバーの4000号に改番されました。以後の増備はキャッスル級に移行し、機関車の出力が強化されました。

運用と廃車

4000形はGWRの主力機関車として広く使用され、強力な牽引力を誇り、主要幹線で活躍しました。しかし、キャッスル級の導入により、次第に性能面での競争に苦しむことになります。1925年からは15両がキャッスル級に改造され、残りの機関車は1932年から廃車が始まり、1956年には全機が廃車となりました。

現在、4003号機「ロード・スター」は、ヨークの国立鉄道博物館に保存されています。

諸元

• - 全長：19,862.8mm
• - 軸配置：2C（テンホイラー）
• - 動輪直径：2,044.7mm
• - シリンダー（直径×行程）：381mm×660mm
• - ボイラー圧力：15.82kg/cm²
• - 機関車重量：75.54t
• - 最大軸重：20t
• - 炭水車重量：46.64t

グレート・ウェスタン鉄道4000形蒸気機関車は、その革新的な技術と設計が評価され、イギリスの鉄道技術の進展に貢献しました。

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