グレープ・ライブ 三年坂

グレープ・ライブ 三年坂

『グレープ・ライブ 三年坂』は、日本の音楽グループ、グレープがリリースしたライヴ・アルバムで、1975年11月6日に中野サンプラザ・ホールで行われたリサイタルを収録しています。このアルバムは、グレープの二人であるさだまさしと吉田政美が解散を決意していた時期に制作されたもので、事実上の最後の作品として特別な意義を持っています。

アルバムの背景

リサイタルは、グレープのベストアルバム制作の一環として企画され、音楽監督には著名な編曲家で指揮者の服部克久が起用されました。この公演では、オリジナルのスタジオアルバムには含まれていなかった多くの楽曲が披露され、観客を魅了しました。特に、インストゥルメンタル曲の「バンコ」や「第一印象」は注目を集め、その音楽的な深みを示しました。また、さだまさしがクラフトに提供していた楽曲のセルフカバーも行われました。

元々タイトルを書道三段の吉田が手がけた点も、このアルバムの特長の一つです。リリース後、この作品は累計93万枚を売り上げ、商業的にも成功を収めました。

オリジナル盤とその後

オリジナル盤は1976年に登場し、すぐにオリコン・チャートで2位に達しました。この年の年間オリコン・チャートでは、子門真人の「およげ! たいやきくん」に次いで2位となり、45万枚以上の販売を記録した大ヒットとなります。しかし、さだは後にこのライヴの状況をより忠実に再現した『完全盤』を再リリースすることになりました。オリジナル盤はカセット・テープ版では、収録時間の関係でトークが一部カットされているなど、完全な形ではありませんでした。

初期のCDは1990年代初頭にリリースされ、分売形式であったため、ファンの間では利便性の面で物議を醸しましたが、1997年に再発された際にはオリジナルと同じく2枚組が復活しました。この再発では音質向上のためにプリエンファシス処理も施されています。

完全盤の特徴

2005年には、グレープの解散30周年を祝う形で『完全盤』がリリースされました。これにはオリジナル版でカットされた曲やトークセッションが追加され、曲順もリサイタル当時のものに戻されました。加えて、デジタルリマスタリングが施され、LPに収録されていた解説なども歌詞カードに追加されるなど、より充実した内容となりました。

収録曲と演奏者

この作品にはさだまさしが全作詞・作曲を手がけた楽曲が収められています。また、演奏にはエレキギターの松木恒秀、エレキベースの岡沢章、ドラムの村上秀一、キーボードの大原繁仁、ストリングスこ加納アンサンブルといった多彩なアーティストが参加しており、深い音楽体験を提供しています。

今回の『グレープ・ライブ 三年坂』は、グレープの音楽遺産として、今なお多くのファンに愛され続けている名盤です。

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