グロテスク (2009年の映画)

2009年公開、白石晃士監督による過激なスプラッターホラー映画『グロテスク』

2009年に公開された日本映画『グロテスク』は、白石晃士監督によるスプラッター・ホラー作品です。映倫未指定作品として公開され、その過激な描写から大きな話題を呼びました。特に、レンタル版とは異なる、より残虐な描写を含むセル版（UNRATED VERSION）は、イギリスではBBFC（英国映画審査機構）によってDVD販売が禁止されるなど、世界的に大きな波紋を呼びました。

BBFCトップのデービッド・クーク氏は、販売禁止の理由について、『ソウ』や『ホステル』シリーズといった、近年の拷問をテーマとしたホラー映画とは異なり、『グロテスク』はストーリー性や登場人物の成長が欠如しており、容赦ない辱め、暴力、サディズムの描写だけがエスカレートしている点を指摘しました。 日本のAmazon.co.jpにおいても、自主規制の対象となり、販売が中止されました。この措置は、映画の内容が社会的に許容される範囲を超えていると判断されたことを示しています。

衝撃的なストーリー

物語は、会社員の和男とアキの初デートから始まります。二人は突如何者かに襲われ、気が付くと地下室に監禁されています。そこには謎の男が現れ、彼らに様々な拷問を加えながら、「二人の愛に感動できれば解放する」と告げます。これは、犯人の歪んだ愛情表現とも取れる、残酷で理解しがたい行為です。

一度は治療を受け、解放を告げられた二人ですが、それは犯人の嘘でした。再び始まる拷問の末、和男とアキは命を落とします。 彼らの簡単な墓は、犯人によって建てられ、その隣には多数の墓が並んでおり、犯人の過去や犯行の規模を暗示しています。このラストシーンは、観客に深い衝撃と恐怖を与え、忘れ難い印象を残します。

キャストとスタッフ

映画を彩るキャストとスタッフ陣も、作品の世界観を形作る上で重要な役割を果たしました。

主なキャスト
宮下アキ役：長澤つぐみ
小島和男役：川連廣明
立川正義役：大迫茂生

主なスタッフ
監督・脚本：白石晃士
製作：大橋孝史、小林洋一
プロデューサー：上野境介、宇田川和恵
音楽：佐藤和郎
撮影監督：福田陽平
美術：安宅紀史
編集：曽根剛
助監督：伊藤拓也
制作担当：酒井明
配給：ジョリー・ロジャー
制作プロダクション：トルネードフィルムス
* 製作：ジョリー・ロジャー、エースデュース

主題歌「あえか」は、手島正登作詞・作曲、佐藤和郎編曲、SS歌唱による楽曲です。

『グロテスク』は、その過激な描写ゆえに賛否両論を巻き起こしましたが、日本のホラー映画史において特異な存在として記憶されています。倫理的な問題点と芸術表現の境界線、そして人間の残酷さを突きつける、衝撃的な作品と言えるでしょう。

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