グロプ G 120

グロプ G 120：高性能練習機の概要

グロプ G 120（Grob G 120）は、ドイツのグロプ・エアクラフトによって設計・製造された軍と民間の両方に対応する練習機および曲技飛行機です。1980年代に開発が始まったこの機体は、G 115TAを基にしており、材料にはCFRP（炭素繊維強化プラスチック）が多く使われています。この素材が、軽量で高い強度を実現し、機動性を向上させています。

G 120は、+6Gから-4Gの範囲で曲技飛行ができる能力を持つため、パイロットの技術習得に最適な機体です。従来のモデルG 115からの重要な変更点として、3点式降着装置が引き込み式に改良され、空気抵抗を低減しています。また、最初の製造モデルであるG 120Aは、ライカミング社製のAEIO-540-D4D5水平6気筒ピストンエンジンを搭載し、260馬力の出力を誇ります。1992年の初飛行以来、この機体は各国の航空訓練所で広く利用されています。

G 120Aの開発は、アメリカ軍向けの入札に参加したものの、選ばれなかった経緯もあり、その後は2000年まで中断していました。再開されたのは2001年で、同年11月にはドイツで形式承認を取得、翌年にはアメリカでも正式に認可されました。最初の顧客であるルフトハンザ・フライトトレーニング社は、アリゾナに位置する航空トレーニングセンターで運用を開始しました。その後、カナダ、イスラエル、フランス、ケニアなどにも導入され、多くの空軍に採用されています。

さらに進化したモデル、G 120TPは、ロールスロイス製の250-B17Fターボプロップエンジンを搭載し、出力は456馬力に達します。G 120TPは2010年に初飛行を果たし、インドネシア空軍を皮切りにアルゼンチン、メキシコなど多くの国に採用されています。アメリカ合衆国やイギリス軍もこの機体を配備し、訓練に用いています。

各国での運用状況

G 120A

• - ドイツ: 連邦空軍が6機をリースして運用中。
• - カナダ: 14機を運用。
• - フランス: 第709コニャック＝シャトーベルナール空軍基地で18機を使用。
• - イスラエル: 2002年より17機を導入。
• - ケニア: 2013年に6機を取得。

G 120TP

• - ミャンマー: 20機。
• - アメリカ合衆国: 陸軍で7機と統合パイロット学校で5機。
• - イギリス: 3軍との共同運用で23機他、テストパイロット学校に2機。
• - アルゼンチン: 10機。
• - エクアドル: 8機。
• - エチオピア: 12機。
• - ドイツ: 4機。
• - インドネシア: 30機。
• - ケニア: 9機。
• - メキシコ: 25機。
• - ヨルダン: 16機。

主要諸元（G 120A）

• - 乗員: 2名
• - 全幅: 10.19m
• - 全長: 8.605m
• - 全高: 2.57m
• - 翼面積: 13.29m²
• - 空虚重量: 960kg
• - 最大離陸重量: 1,490kg
• - エンジン: ライカミングAEIO-540-D4D5（260hp）
• - 超過禁止速度: 435km/h
• - 巡航速度: 307km/h
• - 海面上昇率: 390m/min
• - 実用上昇限度: 5,500m
• - 航続距離: 1,537km

このように、G 120はその性能と多くの国での採用実績から、軍事および民間の両方で高い評価を受けています。

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