グロモボーイ

「グロモボーイ」（ロシア語: «Громобо́й»）は、ロシア文学、特にキエフ・ルーシ時代を舞台にした作品に登場する人物名として知られています。また、その名前は作品タイトルや、ロシア帝国海軍の艦船名としても用いられました。

文学作品における「グロモボーイ」

「グロモボーイ」は、複数の文学作品に登場します。その中でも特に重要な作品とその概要は以下の通りです。

V・A・リョーフシンの『ルーシの昔話（スカースカ） Русские сказки 』所収の『ウラジーミル公に仕えたボガトィーリ、貴族ザオレシャーニンの物語 Повести о дворянине Заолешанине — богатыре, служившем князю Владимиру 』（1780年）
この作品では、「グロモボーイ」は主人公である貴族ザオレシャーニンの父親の名前として登場します。この作品における「グロモボーイ」は、単なる名前以上の具体的な役割や人物像は描かれていませんが、物語の背景を形作る重要な要素となっています。

G・P・カーメネフの『グロモボーイ Громобой』（1796年）
この作品では、「グロモボーイ」は主人公の名前として用いられています。この作品は、18世紀後半のロシア文学における古典主義の影響下で書かれたものであり、登場人物の性格や物語の展開は当時の文学的慣習に沿って構成されています。

V・A・ジュコーフスキイの頌詩『十二人の眠れる処女 Двенадцать спящих девъ 』の一篇『グロモボーイ Громобой』
この作品は、ジュコーフスキイが先に挙げたリョーフシンやカーメネフの作品を基に創作したものです。「グロモボーイ」は、罪深い主人公の名前として登場し、物語において重要な役割を果たしています。この詩は、ジュコーフスキイのロマン主義的な作風が色濃く反映されており、罪と贖罪、道徳的な葛藤を描いたものとなっています。

これらの作品群を通して、「グロモボーイ」という名前は、ロシア文学において、歴史的背景を持ちながらも、それぞれの作品で異なる意味合いを持つ人物像として描かれてきました。特に、ジュコーフスキイの作品における「グロモボーイ」は、単なる英雄譚の登場人物ではなく、より複雑な内面を持つ人物として描かれており、読者に深い印象を与えます。

ロシア帝国海軍における「グロモボーイ」

「グロモボーイ」という名前は、ロシア帝国海軍の艦船名としても用いられました。これは、文学作品における英雄的なイメージを艦船に投影したものであり、ロシア海軍の歴史において重要な役割を果たしました。

フリゲート「グロモボーイ」（『イリヤー・ムーロメツ』級）
このフリゲートは、「グロモボーイ」という名前を持つ最初の艦船の一つです。「イリヤー・ムーロメツ」級に属し、当時のロシア海軍における主要な戦力として活躍しました。この艦は、ロシア海軍の発展において重要な役割を果たしました。

* 装甲巡洋艦「グロモボーイ」（『グロモボーイ』級）
この装甲巡洋艦は、同名の「グロモボーイ」級の旗艦として建造されました。その性能と役割は、当時の海軍技術の粋を集めたものであり、ロシア帝国海軍の象徴の一つとなりました。この艦は、日露戦争など、多くの海戦に参加し、その名前を歴史に刻みました。

これらの艦船名は、文学作品における「グロモボーイ」の英雄的なイメージを踏襲し、ロシア海軍の勇猛さを示すものとして、人々に認識されました。これらの艦船は、ロシア海軍の歴史において、重要な役割を担いました。

まとめ

「グロモボーイ」という名前は、ロシア文学とロシア帝国海軍の両方において重要な意味を持つ言葉です。文学作品においては、様々な形で登場人物名として使われ、作品ごとに異なる側面を描き出しています。一方、海軍においては、その英雄的なイメージが艦船名として採用され、ロシアの歴史と深く結びついています。このように、「グロモボーイ」は、文学と歴史の両面から、ロシア文化を理解するための重要なキーワードであると言えるでしょう。

もう一度検索