グロリア (1999年の映画)

1999年版『グロリア』：シャロン・ストーン主演による犯罪アクション映画

1999年公開のアメリカ映画『グロリア』（Gloria）は、シドニー・ルメット監督によるクライムアクション作品です。シャロン・ストーンが主人公グロリアを演じ、ジーン・ルーク・フィゲロア、ジェレミー・ノーサムらが出演しています。本作は、ジョン・カサヴェテス監督、ジーナ・ローランズ主演による1980年版『グロリア』のリメイクとして製作されました。

オリジナルとの相違点：逃避行のきっかけと登場人物

1980年版と1999年版の最大の違いは、グロリアが逃避行を始めるきっかけにあります。オリジナルでは、少年の母親から託された少年を連れて逃亡しますが、リメイク版では、偶然出会った少年を人質にして脱出するという展開になっています。この変更によって、物語の緊張感とグロリアの行動原理に変化が生じています。

さらに、オリジナルではマフィアのボスとグロリアの元恋人が同一人物でしたが、リメイク版では明確に2人の登場人物として描かれています。時代背景を反映して、マフィアの秘密が記された媒体も、オリジナルの手帳からフロッピーディスクへと変更されています。これらの変更は、現代的な視点を取り入れるとともに、物語に新たな緊張感をもたらしています。

キャストとキャラクター：個性豊かな登場人物たち

本作は、魅力的なキャラクターたちが物語を彩っています。シャロン・ストーン演じるグロリアは、恋人ケヴィンの身代わりとして刑務所生活を終え、出所したばかりの女性です。刑務所内では有名人だったという設定は、彼女のたくましさと複雑な過去を暗示しています。

一方、ジーン・ルーク・フィゲロア演じる少年ニッキーは、マフィアの会計士である父親から、組織の秘密が詰まったフロッピーディスクを託されます。ぜんそく持ちという設定は、彼の脆さと同時に、危険な状況下で秘めた強さを表現しています。

その他の主要キャラクターとして、グロリアの恋人ケヴィン（ジェレミー・ノーサム）、親友ダイアン（キャシー・モリアーティ）、マフィアのボス・ルビー（ジョージ・C・スコット）、殺し屋ショーン（マイク・スター）、グロリアの姉ブレンダ（ボニー・ベデリア）、そしてマフィアの会計係ジャック（ボビー・カナヴェイル）とその妻アンジェラなどが登場します。それぞれのキャラクターが、グロリアを取り巻く複雑な状況を形成し、物語に深みを与えています。

批評家の評価：賛否両論の反応

Rotten Tomatoesでは29件のレビューのうち14%（4件）しか高評価を得ておらず、平均点は10点満点中4.2点という厳しい評価となっています。Metacriticでも、19件のレビューのうち高評価は2件のみで、平均点は100点満点中26点と、批評家からは低い評価を受けています。これらの評価は、リメイク版がオリジナル作品を凌駕するほどの出来ではなかったことを示唆していると言えるでしょう。

まとめ：リメイク版『グロリア』の魅力と課題

1999年版『グロリア』は、シャロン・ストーンという大物女優を起用し、オリジナル版とは異なる展開やキャラクター設定によって、新たな魅力を生み出そうとした作品と言えます。しかしながら、批評家の評価を見る限り、その試みは必ずしも成功したとは言えないようです。オリジナル版との比較、時代背景の変化、そしてキャストの演技など、様々な要素を考慮して鑑賞すると、より深く本作を理解することができるでしょう。

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