グータ

グータ：ダマスカス郊外地域の変遷

グータ（アラビア語: غوطة دمشق / ラテン文字表記: Ghūṭat Dimashq）は、シリアの首都ダマスカスの東から南にかけて広がる郊外地域です。かつてはバラダ川沿いのオアシス都市として繁栄していました。

歴史

グータは、バラダ川から引かれた多くの運河によって灌漑された肥沃な土地であり、ダマスカスとシリア砂漠を隔てる緩衝地帯としての役割も担っていました。この地域は、ダマスカスに穀物、野菜、果物などの食料を供給する重要な役割を果たし、灌漑農地は370平方キロメートルにも及びました。

しかし、1980年代に入ると都市化が急速に進み、緑地は徐々に減少していきました。シリア内戦が始まる前には約200万人が暮らしていましたが、2017年には約40万人まで人口が激減しました。

シリア内戦

2011年3月にシリア内戦が勃発すると、東グータの住民の一部は、大統領バッシャール・アル＝アサドに対する抗議活動を開始しました。2012年11月には、反政府勢力がグータから政府軍を追放し、支配権を掌握しました。

2013年2月、反政府勢力はダマスカスの外環道とジョバル地区を占拠しましたが、同年5月には、イランとヒズボラの支援を受けた政府軍が反撃を開始し、東グータを包囲しました。

2017年中盤時点では、ドゥーマーを拠点とするイスラム軍がこの地域の主要な反政府勢力でした。イスラム軍の戦力は、翌年序盤には1万人から1万5千人と推定されていました。アル・ラフマン軍団は自由シリア軍と同盟を結び、中央部から西部にかけてのグータを支配していました。その他にも、シャーム自由人イスラム運動やシャーム解放機構などの小規模な勢力が存在していました。

2018年2月、政府軍は地上侵攻を開始し、多くの住民が虐殺されました。同年4月には、最後の拠点であったドゥーマが陥落し、反体制派は東グータから撤退しました。

現在

長年にわたる内戦により、グータは甚大な被害を受けました。多くの住民が家を失い、避難を余儀なくされました。インフラも破壊され、復興には長い年月と莫大な費用がかかると予想されています。紛争の傷跡は深く、グータの復興はシリア全体の課題となっています。

外部リンク

* “Damascus, Syria : Image of the Day”. NASA. 2013年6月26日閲覧。 Satellite image of wider region showing 2013 green areas.

もう一度検索