ケナー・プロダクツ

ケナー・プロダクツ：革新的な玩具メーカーの歴史と軌跡

ケナー・プロダクツは、1946年に設立されたアメリカ合衆国の玩具メーカーです。数々の人気映画作品、特に『スター・ウォーズ』、『ジュラシック・パーク』、『バットマン』などの関連商品、中でもアクションフィギュアの製造で名を馳せました。しかし、様々な企業の傘下を経て、1991年に大手玩具メーカーのハズブロに買収され、2000年にその歴史に幕を閉じました。現在はハズブロが事業と商標権を引き継いでいます。

創業と発展

1946年、オハイオ州シンシナティで、アルバート、フィリップ、ジョセフL.シュタイナー兄弟によってケナー・プロダクツは設立されました。社名は、シンシナティユニオンターミナルのすぐ北にあった本社所在地に由来します。1958年以降は、全米規模での商品マーケティングにテレビ広告を積極的に活用し、その先駆けとなりました。

1960年代初頭には、マスコットキャラクターである「ケナーグーニーバード」が登場。「ケナーです！楽しいです！」というキャッチフレーズと共に、アニメーションや人形劇として会社のロゴやテレビCMに起用されました。このCMは、マペットの生みの親であるジム・ヘンソンが制作を手掛け、後にセサミストリートのキャラクター、ビッグバードの原型となる人形が登場しました。ケナーグーニーバードは、1974年までに徐々に姿を消していきました。

1967年、ケナーはゼネラル・ミルズに買収され、1971年には同じくゼネラル・ミルズ傘下でプレイ・ドーを発売していたレインボークラフトを統合しました。1985年には、ゼネラルミルズが傘下のケナーとパーカーブラザーズの玩具部門を分離独立させ、ケナーパーカー・トイズ社が設立されました。しかし、翌年にはライオネル・トレイン部門を売却しています。

1987年、ケナーパーカーはトンカに買収され、トンカの管理下でケナープロダクツ部門として再編成されました。そして1991年、ハズブロがトンカとケナーを買収。2000年には、ハズブロがケナーのシンシナティオフィスを閉鎖し、ケナーの製品ラインはハズブロの製品ラインに統合されました。

主要な製品と製品ライン

ケナーは、数々の革新的な玩具を世に送り出してきました。初期の代表的な商品の一つが、泡を吹くおもちゃの銃「バブルマティック」で、改良版は1960年代半ばまで販売されていました。また、1957年には人気の組み立て玩具「ガーダー・アンド・パネル・ビルディングセット」、1959年には「ギブ・ア・ショー・プロジェクター」、1963年には「イージー・ベイク・オーブン」や「エレクトリック・モールドマスター」、1966年には「スピログラフ描画玩具」などを発売しました。1988年には、スポーツアクションフィギュアのコレクティブルラインもスタートさせています。

ケナープロダクツは、1976年から1985年にかけて、『スター・ウォーズ』三部作のアクションフィギュアとプレイセットを製造する権利を獲得しました。1976年にメゴコーポレーションがスター・ウォーズのおもちゃを製造するライセンスを取得した後、ケナーは3.75インチのアクションフィギュアを発売し、これがアクションフィギュア市場の業界標準となりました。また、人気テレビシリーズ『600万ドルの男』や、1979年のSF映画『エイリアン』関連のおもちゃも製造しました。1981年には、ミニカー市場に参入しましたが、短命に終わっています。1980年代には、モデル馬の「ファッションスターフィリーズ」ラインもリリースされました。

特に評価の高い製品の一つが、1984年から1986年にかけて製造されたDCコミックスのスーパーヒーローアクションフィギュア「スーパーパワーズ・コレクション」です。キャラクターが原作に忠実に再現されている点や、各キャラクターが独自の「アクション」を実行できる点が特徴でした。また、ジャック・カービーのニューゴッズやジョージ・ペレスのサイボーグも発売されました。1985年には、DCコミックスの50周年記念出版物「Fifty Who Made DC Great」で、スーパーパワーズ・コレクションが表彰されました。

1980年代後半に人気を博したアクションフィギュアの一つに、1984年の映画『ゴーストバスターズ』を原作とするアニメシリーズ『リアルゴーストバスターズ』の関連商品があります。アニメシリーズの放送開始と同じ1986年に発売され、放送期間のほとんどを通して製造が続けられました。初期は原作に忠実でしたが、次第にケナーのデザインによるオリジナルのコスチューム、武器、ゴーストキャラクターが中心となりました。

原作から離れてオリジナルのデザインを生み出すというアイデアは、当時としては画期的なものでした。それまでは、スター・ウォーズやマーベルコミック、DCコミックなどの人気作品に忠実な商品を作るか、ハズブロのG.I.ジョーやトランスフォーマー、マテルのマスターズ・オブ・ユニバースのように、玩具会社が独自のオリジナルキャラクターを制作し、それを宣伝する漫画やアニメを制作するのが一般的でした。ケナーは、自社の新しいコンセプトとデザインを『リアルゴーストバスターズ』の漫画やアニメに登場させるための取り決めは行いませんでした。

このようなアプローチは、1990年に発売された「ダークナイト・コレクション」にも引き継がれました。このシリーズは、ティム・バートン監督の映画『バットマン』の大ヒットを受けて企画されたもので、その後、映画シリーズを超えて、アニメシリーズや漫画版のバットマンからもインスピレーションを得た商品が展開されました。ケナーは、スーパーマンや他のDCコミックスのキャラクターを中心としたシリーズの開発も続けました。これらのDCコミックスのシリーズは、『リアルゴーストバスターズ』と同様に、既存のストーリーラインに直接基づかない、カラフルなコスチュームや武器、アクション機能を特徴としていましたが、キャラクターの名前と外見は原作から引用されていました。

映画版に基づいたシリーズから、DCコミックスのライセンスを引き継いだケナーのデザインアプローチは、後にマテル社が発売した『バットマンビギンズ』、『ダークナイト』、『スーパーマンリターンズ』、そしてコミック版のジャスティス・リーグにも受け継がれました。ケナーの親会社であったハズブロも、G.I.ジョーや2010年の3.75インチのスパイダーマンアクションフィギュアラインなどで同様のアプローチを採用しています。

1998年には、『ジュラシック・パーク：カオスエフェクト』シリーズが発売されましたが、売上は予想を下回りました。また、ナイトハンターシリーズをベースとした『カオスエフェクト』の第二弾が1999年に計画されましたが、販売不振のため中止となりました。ジュラシック・パークシリーズの不振は、ハズブロに大きな悪影響を与えました。さらに、『スター・ウォーズエピソード1/ファントム・メナス』のおもちゃの過剰生産と売上の低迷が重なり、ハズブロはシンシナティのケナー部門を廃止し、人員削減を余儀なくされました。

『カオスエフェクト』とは別に、『ジュラシック・パークIII』の玩具開発にあたり、ハズブロは『ジュラシック・パークIII』のおもちゃをスター・ウォーズのデザインチームに割り当てました。スター・ウォーズのデザインチームは、人間をスター・ウォーズのフィギュアと同じサイズにスケーリングし、おもちゃのスタイルを『スター・ウォーズエピソード2/クローンの攻撃|スター・ウォーズエピソード2_クローンの攻撃』と同じにしました。

2010年、ハズブロは、オリジナルのケナー版スター・ウォーズ製品ラインを彷彿とさせるパッケージを特徴とする、最新のスター・ウォーズアクションフィギュア「スター・ウォーズ：ヴィンテージコレクション」を発売しました。これは、画面に忠実に再現された、ポーズをとることができる新しいフィギュアでした。

ハズブロは、2004年の「ヴィンテージ」オリジナルトリロジーコレクションと2006年から2007年の「ヴィンテージ」コレクションで、ケナーのオリジナルシリーズの復刻版を2度発売しましたが、スター・ウォーズのラインが完全にレプリカのケナーカードフィギュアに特化されたのは、この時が初めてでした。

ケナー・プロダクツは、その革新的な製品とデザインで、玩具業界に多大な影響を与えました。その歴史は、玩具業界の変遷を物語るものであり、今もなお、多くのファンに愛されています。

もう一度検索