ケニアにおけるコーヒー生産

ケニアのコーヒー産業

ケニアのコーヒー生産は、協同組合が中心となり、生産から加工、販売まで一貫したシステムで行われています。特に、小規模農家が生産量の約7割を担っており、2012年の時点では約15万人のコーヒー農家が存在すると推計されています。また、コーヒー産業には、直接・間接的に約600万人のケニア人が関わっています。

主な生産地

主なコーヒー生産地は、ケニア山周辺の高地、アベテーア山脈、キシー、ニャンザ、ブンゴーマ、ナクル、ケリチョなどで、その他にもマチャコス、タイタ丘陵、海岸州といった地域でも小規模な生産が行われています。

コーヒーの特徴

ケニア中部の高地は、酸性土壌、適度な日照、降雨量など、コーヒー栽培に最適な環境が揃っています。ケニア産のコーヒーは「コロンビアマイルド」タイプに分類され、強い風味とココアのような独特の芳香、しっかりとしたボディが特徴です。フレンチローストまで焙煎しても味が損なわれにくいため、ブレンド用としても非常に人気が高く、世界中で取引されています。

生産量の減少

しかし、コーヒー生産ブームと価格の不安定さから、ケニアのコーヒー生産量は1987年8月の13万トンから2011年11月には4万トンまで減少しています。

歴史

コーヒーの原産地とされるエチオピアに近いにもかかわらず、ケニアでは長らくコーヒー栽培が行われていませんでした。1893年にフランスの宣教師によってレユニオン島からコーヒーが持ち込まれたという説や、1900年にイギリスによって導入されたという説があります。ナイロビ近郊のミッション農園が、ケニアにおけるコーヒー生産発展の中核となりました。

等級と取引

ケニアAAとは？

「ケニアAA」は、一般的にコーヒーの種類として認識されていますが、実際にはケニアのコーヒー豆の等級の一つです。豆の大きさと形状によって等級が付けられ、主に以下の種類があります。

PB (ピーベリー): コーヒーチェリー1個につき1つしかない丸い豆。
AA: 7.20mmの篩にかけられた大粒の豆。
AB: 6.80mmの篩にかけられたA等級とB等級の混合。
C: Bよりも小粒の豆。
E (エレファント): 最大サイズの豆。
TT: 全てのサイズの篩から落とされた豆。
T: 最小、最軽量の豆。

水洗式精製法ではないコーヒー豆は「ムブニ」と呼ばれ、MH（重いムブニ）とML（軽いムブニ）の2等級に分類され、生産量の10%程度を占め、一般のコーヒー豆よりも安価で取引されています。

取引方法

ケニアのコーヒー取引は、主に2つの方法で行われます。

1. セントラルオークション: ナイロビコーヒー取引所で毎週火曜日に開催されるオークションで、ケニア・コーヒー・プロデューサー＆トレーダーズ協会の管理下で行われます。
2. 直取引: 「第二の窓」と呼ばれる海外商人との直接取引で、政府コーヒー局の監督下で行われます。

コーヒー豆はサイザル麻の60kg袋に入れられて取引されますが、競売は50kg袋を基準に行われます。

オークションにおける平均価格例（50kg袋基準）

AA - $377.20
AB - $317.42
C - $239.19
PB - $308.93
T - $183.70
TT - $252.51
UG1 - $198.06
UG2 - $104.81
UG3 - $116.63

主要なコーヒー農園、協同組合

以下はケニアの主要なコーヒー農園、協同組合の一部です。

ギカンダ協同組合 — Gichathaini, Kangocho, Ndaroini Factories (Mathira, Nyeri)
キリミリ協同組合
テカング協同組合 — Tegu, Karogoto, Ngunguru Factories (Mathira, Nyeri)
チリク農業協同組合 (Thingingi Area, Nyeri)
ムセカ農業協同組合 - Chorong'i, Kigwandi, Kihuyo, Muthuaini, Kamuyu, Kaihuri Factories (Nyeri)
イエゴ農業協同組合 - Main, Mununga, Gatubu, Marimira, Gitura, Kirangano, Watuha (Murang'a)
* カルングルコーヒー農園 (Juja Kenya)



ケニアのコーヒー産業は、その独特な生産システムと高品質な豆によって、世界中で愛されています。しかし、生産量の減少や価格変動といった課題も抱えており、今後の動向が注目されます。

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