ケニー・ハリソン (野球)

ケネス・ジョン・ハリソンは、1971年11月8日にアメリカ合衆国ハワイ州で生を受けた野球選手です。主に外野手としてプレーし、そのプレースタイルは力強い長打力を持ちながらも、変化球への巧みな対応力や俊足を生かした盗塁能力をも併せ持つ器用さが特徴でした。

彼のキャリアは、ハワイ大学での4年間に渡る活躍から始まりました。大学野球での通算成績は打率3割4分1厘、11本塁打という優れたものでしたが、特に最終学年となった4年生シーズンには打率3割8分9厘、8本塁打、そして60打点を記録し、所属するウエスタン・アスレチック・カンファレンスにおいて最優秀選手（MVP）に選出されるなど、その能力を高く評価されました。

大学での実績が認められ、1993年のMLBドラフト会議では、ミネソタ・ツインズから2巡目という上位での指名を受けました。しかし、当時のハリソン選手は、メジャーリーグの選手としては体がそれほど大きくないという自己認識や、プロ野球選手としての経済的な条件を考慮した場合、日本のプロ野球（NPB）の方が自身に適しているのではないかと考え、この指名を辞退するという異例の決断を下します。彼が日本へ目を向けた背景には、ハワイを訪れて遠征試合を行った東京六大学選抜チームとの対戦経験があり、そこで体感した日本式の厳しい練習環境の中で自身の成長を追求し、将来的にNPBで活躍したいという強い意欲がありました。こうして彼は、1994年に日本の社会人野球チームである川崎製鉄千葉に入社することになります。これは、MLBのドラフト指名を受けた選手が直接日本の社会人野球チームでプレーするという極めて珍しいケースであり、過去にはデレク・タツノが記録したのみで、ハリソン選手は史上2人目の事例となりました。

来日直後の1994年3月、彼はJABA東京スポニチ大会から早速、チームの3番打者・右翼手としてスターティングラインアップに名を連ねました。この大会では9打数3安打、1本塁打を放つなど、順調な日本の野球への適応を見せます。同年夏の都市対抗野球大会では本塁打を記録し、秋の日本選手権大会ではチームのベスト8進出に貢献し、その活躍が評価されて優秀選手に選ばれるなど、社会人野球界で目覚ましい成績を残しました。翌1995年も、公式戦打率4割1分7厘という高い打撃成績でチームの都市対抗出場に貢献するなど、その打棒は健在でした。しかしながら、NPB球団からの獲得オファーは、外国人選手枠の問題など様々な要因が絡み合い、実現には至りませんでした。川崎製鉄千葉での2年間で、彼は公式戦通算打率3割2分4厘、9本塁打の成績を残しましたが、異文化の中でのコミュニケーション面での困難など、精神的な負担もあったとされ、2年契約の満了に伴い、同年9月をもってアメリカへと帰国しました。

日本を離れた後、1996年にはアメリカ国内に戻り、ピッツバーグ・パイレーツ傘下（当時）のA+級マイナーリーグチームであるリンチバーグ・ヒルキャッツでプレーを続けました。

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