ケビン・ラッド

ケビン・マイケル・ラッド：オーストラリアの政治家と外交官

ケビン・マイケル・ラッド（Kevin Michael Rudd、1957年9月21日生まれ）は、オーストラリアの著名な政治家であり、外交官としても活動をしています。2023年からは駐米オーストラリア大使として、アメリカとの関係強化に取り組んでいます。彼は2007年から2010年、そして2013年にオーストラリア連邦首相を務め、また2010年から2012年には外部の外交活動に従事しました。ラッドの漢字名は「陸克文」であり、中国との関係にも深い理解を持つ政治家です。

来歴

ラッドは、ブリスベン北方のナンボーで農家として生まれました。11歳の頃に父親と死別し、家庭は貧困に直面しましたが、彼は奨学金を得てキャンベラのオーストラリア国立大学に進学し、アジア研究を専攻しました。その際に修得した中国語の能力は後の国際交渉に大いに役立っています。大学での優秀な成績を収めながらも、彼はカトリック教徒としての背景を持っており、1981年には聖公会の信者であるテレイズ・レインと結婚しました。

外交官としてのキャリア

政治の道に進む前、ラッドは1981年にオーストラリア連邦政府の外務貿易省に入省しました。彼はスウェーデン及び中華人民共和国のオーストラリア大使館での勤務を経て、外交官としての経験を積みました。この経験はその後の政治活動において貴重な資産となります。

クイーンズランド州政界と連邦下院議員

ラッドは1988年に労働党の党首ウェイン・ゴスのスタッフとして活動を開始し、政権交代後は州首相の首席補佐官を務めました。その後、1996年の連邦下院選挙では一度落選したものの、1998年にはグリフィス選挙区から見事当選を果たします。彼はその後、外交と国際安全保障に関する影響力を強めていきました。

首相としての活動

2007年、ラッドは労働党を率いて第26代オーストラリア首相に就任します。彼の就任直後、オーストラリアは京都議定書への調印やイラク駐留部隊の撤収など、環境や地域の安定に向けた政策を進めました。特に先住民に対する謝罪演説は歴史的な瞬間として評価されています。しかし、彼の任期中には金融危機も発生し、大規模な経済対策が求められました。彼の政策は「バラマキ政策」とも批判されながらも、高い支持率を維持し続けました。

首相退任後と再登板

ラッドは2010年に辞任し、その後外務大臣に就任しましたが、党内の支持を失い、再度の党首選挙に敗れました。2013年、ギラードとの対立を経て再び党首に就任し、再登板を果たしました。しかし、次期選挙での不振により、その後総選挙で敗北し退任しました。

駐米大使としての今

2022年に駐米大使に指名され、2023年に就任したラッドは、アメリカとの関係強化に努めています。彼の多彩な経歴と国際感覚は、今後の外交政策において重要な役割を果たすことでしょう。

家族と著書

ラッドの家族は彼の日常生活にも影響を与えていました。彼の妻は人材会社を経営しており、子供たちも大学で学びを続けています。また、彼は著書を通じて自己の視点を広める努力も惜しみません。2024年に発表予定の『避けられる戦争――米中危機が招く破滅的な未来』は、その代表的な作品と言えるでしょう。

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