ケビン・リー

ケビン・リー：レスリングからUFCそして引退へ

ケビン・リーは1992年9月4日、アメリカ合衆国ミシガン州グランドラピッズ生まれの総合格闘家です。幼少期をデトロイトで過ごし、バスケットボールに親しんだ後、サウスフィールド高校でレスリングを始めます。その後、グランドバレー州立大学に進学し、レスリングで37戦全勝という輝かしい戦績を残しますが、総合格闘技に専念するため2年時に中退という決断をします。

2012年、プロ総合格闘家としてキャリアをスタートさせると、翌年にはTWCライト級王座を獲得。順風満帆なキャリアを歩むかに見えたリーでしたが、2014年、UFC初参戦となったUFC 169でキャリア初黒星を喫します。しかし、彼はそこから這い上がります。

UFCでの活躍は目覚ましく、2016年にはマゴメド・ムスタファエフを相手にリアネイキドチョークで一本勝ち、パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞。その後も、フランシスコ・トリナウド、マイケル・キエーザら強豪を相手に、得意のリアネイキドチョークで勝利を重ね、パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを複数回受賞するなど、その名を世界に知らしめました。しかし、トニー・ファーガソンとのUFC世界ライト級暫定王座決定戦では敗北を喫し、王座獲得は叶いませんでした。

リーは、卓越したテイクダウンスキルとグラウンド・アンド・パウンド、そしてサブミッションテクニックを武器に、多くの対戦相手を圧倒しました。特に、長いリーチを活かしたチョークは彼の代名詞と言えるでしょう。しかし、彼のキャリアは常に順風満帆だったわけではありません。体重超過の問題を抱え、複数の試合で減量に苦戦しました。また、2021年には薬物検査で陽性反応が出たことで出場停止処分を受けるなど、苦難を経験しています。

2017年、マイケル・キエーザとの記者会見での乱闘騒ぎは、リーの激しい性格とライバル関係の一端を垣間見せる出来事でした。また、彼は実弟であるキース・リーも総合格闘家であることでも知られています。私生活では、2020年アメリカ合衆国大統領選挙ではバーニー・サンダースを支持し、集会で講演を行うなど、政治的な活動にも関与していました。2021年にはイスラム教に改宗し、2022年には息子が誕生するなど、私生活でも大きな変化がありました。

UFCでの活躍を経て、リーはEagle FCに移籍。そして、再びUFCへ復帰を果たしますが、2023年7月、リナト・ファクレトディノフとの試合で開始早々に敗北を喫し、同月引退を表明しました。

ケビン・リーのキャリアは、成功と挫折、そして様々な人間ドラマが織りなされた、波乱に満ちたものでした。レスリングで培われた高いスキルと、総合格闘家としての才能、そして類まれな闘争心。それらが彼の魅力であり、多くのファンを惹きつけた理由と言えるでしょう。彼の功績は、今後も総合格闘技の歴史に刻まれ続けることでしょう。

もう一度検索