ケリー・ルブロック

1960年 3月24日にアメリカ・ニューヨークで生を受けたケリー・ルブロックは、モデルそして女優として広く知られる存在です。幼少期をイギリスのロンドンで過ごし、多様な文化的背景を持つ環境で育ちました。父親はフランス系カナダ人の血を引き、母親はアイルランド人で、自身もモデルという経歴を持っていました。

彼女のキャリアは非常に早い段階でスタートしました。まだ16歳という若さでファッションモデルの世界に飛び込み、その類稀なる美貌と抜群のスタイルで瞬く間に注目を集め、成功を収めます。モデルとしての活動は、その後の女優への転身への重要な足がかりとなりました。

映画界への本格的な進出は1984年でした。この年、彼女はジーン・ワイルダー主演のコメディ映画『ウーマン・イン・レッド』で女優として初めてスクリーンに登場します。この作品で演じた「赤いドレスの女性」という役は、多くの人々の記憶に残る印象的なものであり、彼女の存在を広く世に知らしめるきっかけとなりました。このデビュー作で成功を収めた後、彼女は立て続けに話題作に出演します。

翌1985年には、ジョン・ヒューズ監督によるSFコメディ映画『ときめきサイエンス』に出演。コンピューターと魔法によって創り出された完璧な女性というユニークなキャラクター、リサを演じ、その魅力的な姿とコケティッシュな演技で、1980年代のティーンエイジャーを中心に絶大な人気を獲得しました。この作品はカルト的な人気を誇り、ケリー・ルブロックの代表作の一つとして今も語り継がれています。

その後も女優活動を続け、1990年には当時の夫であったスティーヴン・セガール主演のアクション映画『ハード・トゥ・キル』で共演。アクション映画においても存在感を示しました。1990年代に入っても、『殺人病棟』(1993年)や、テレビアニメーション『デイヴィッド・コパフィールド』(1993年)での声の出演、パロディ映画『裸の銃を持つ逃亡者』(1998年)など、様々なジャンルの作品に出演しています。2000年代には『魔法大戦争/小さな救世主』(2002年)などにも顔を見せています。

私生活においては、二度の結婚歴があります。最初の結婚は1984年、女優デビュー作『ウーマン・イン・レッド』のプロデューサーであったヴィクター・ドレイとでしたが、この関係は長く続かず、1986年に離婚しています。続いて1987年には、俳優のスティーヴン・セガールと再婚しました。セガールとの間には一男二女をもうけましたが、結婚生活は1996年に終わりを迎えました。

ケリー・ルブロックは、1980年代を中心に、その圧倒的な美しさと共に銀幕を彩った女優です。モデル出身ならではの華やかなオーラと、作品ごとに異なるキャラクターを演じ分ける演技力で、観客を魅了しました。特に『ウーマン・イン・レッド』や『ときめきサイエンス』といった初期の出演作は、今なお多くの映画ファンに愛されています。彼女の経歴は、ファッション界から映画界へと華麗に転身し、一時代を築いた才能あるパフォーマーの軌跡を示しています。

主な出演作品

『ウーマン・イン・レッド』 (The Woman in Red, 1984)
『ときめきサイエンス』 (Weird Science, 1985)
『ハード・トゥ・キル』 (Hard to Kill, 1990)
『殺人病棟』 (Betrayal of the Dove, 1993)
『デイヴィッド・コパフィールド』 (David Copperfield, 1993) - テレビアニメ、声の出演
『裸の銃を持つ逃亡者』 (Wrongfully Accused, 1998)
* 『魔法大戦争/小さな救世主』 (The Sorcerer's Apprentice, 2002)

彼女のキャリアは、その後の作品や活動を含め、多岐にわたりますが、特に1980年代に築いたアイコンとしての地位は揺るぎないものです。美しいモデルから魅力的な女優へと華麗なる転身を遂げたケリー・ルブロックは、今も多くの人々の記憶に残る存在であり続けています。

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