ケルシュ

ケルシュ：ケルン発祥の地ビール

ケルシュは、ドイツのケルン地方で伝統的に醸造されているビールです。その起源は古く、ケルン地方でのビール醸造は873年に始まったとされていますが、現在のケルシュとして確立されたのは比較的最近で、約100年の歴史を持ちます。1985年には、正式にビールのスタイルとして認められました。

ケルシュの特徴

ケルシュは、上面発酵酵母を使用しながらも、下面発酵に近い低温で醸造されるという珍しい製法が特徴です。これにより、フルーティーな香りとクリアな後味が生まれます。麦芽には主にピルスナー麦芽が使用されますが、他の麦芽がブレンドされることもあります。ホップの風味は比較的強めですが、同じくドイツの伝統的なビールであるアルトビールと比較すると、苦味や刺激は穏やかです。

地理的表示保護とケルシュ協定

ケルシュは、その名称が地理的表示保護制度によって保護されています。つまり、ケルンで醸造されたビールのみが「ケルシュ」と名乗ることが許されています。ケルン以外で醸造された場合は、「ケルシュ風」のビールとして販売されます。この制度は、1986年にケルンの醸造家によって締結されたケルシュ協定（Kölsch-Konvention）によって定められています。ケルシュ協定では、ケルシュの品質を維持するために、醸造方法だけでなく、提供するグラスについても規定されています。

シュタンゲとケルシュの楽しみ方

ケルシュは、シュタンゲ（Stange）と呼ばれる独特のグラスで提供されます。シュタンゲは、200ミリリットル入る円柱型の細長いグラスで、ケルシュの風味を最大限に引き出すように設計されています。近年では、100ミリリットルとさらに ছোটさなストーチェン (Stößchen)と呼ばれるグラスも人気を集めています。これは一口で飲み干せるサイズで、気軽にケルシュを楽しむことができます。

ケルシュは、その独特な製法、ケルンという土地との結びつき、そして提供されるグラスにまでこだわった、まさにケルンを代表するビールと言えるでしょう。

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