ケルンテン公国

ケルンテン公国の歴史

ケルンテン公国（ドイツ語: Herzogtum Kärnten; スロベニア語: Vojvodina Koroška）は、かつて南部オーストリアと北スロベニアに広がっていた歴史的な公国です。この公国は976年から1806年まで神聖ローマ帝国の一部であり、その後も1918年までオーストリア＝ハンガリー帝国の皇帝直轄領として存在していました。サン＝ジェルマン条約の締結により、公国の大部分は現在のオーストリアのケルンテン州に編入され、わずかな部分がスロベニアのコロシュカ地方に属しました。また、おもな山岳地域であるカナルタール谷は、イタリア王国に割譲されています。

カランタニアと中世の王朝

ケルンテン地域は、7世紀にはスラヴ系のカランタニア公国の一部として知られていました。788年から843年にはカール大帝の帝国の一部でもあり、その後、843年の帝国分割に伴い、東フランク王国に組み込まれます。889年から976年までの間はバイエルンのケルンテン辺境伯領として知られ、936年には公位を持つ辺境伯が存在するようになりました。

976年、神聖ローマ皇帝オットー2世はハインリヒ2世を退位させ、ケルンテン公国を新たに設立します。そのため、この公国はバイエルン公国から分割された第6の公国となりました。新たに創設されたケルンテン公国の最初の公はハインリヒ3世であり、彼の後、エッペンシュタイン家とシュポンハイム家が交互に統治を行いました。

ハプスブルク家の支配

1315年以降、ハプスブルク家が統治を開始しました。彼らは長期間にわたり自治を認められた公国の支配を行い、1379年と1564年の2回にわたって領土の分割を行いました。この時期、ケルンテンはハプスブルク家の一部として多くの政治的及び文化的変遷を経験しました。

マリア・テレジアやヨーゼフ2世の時代には、中央集権化を進める政策が取られ、1804年にケルンテン公国はオーストリア帝国に組み込まれました。また、1867年にはオーストリア＝ハンガリー帝国の皇帝直轄領となりました。

20世紀の変革

第一次世界大戦後、ケルンテン公国は大きな変革の時期を迎えます。オーストリア＝ハンガリー帝国の崩壊に伴い、サン＝ジェルマン条約によって新しい国境が決定され、ケルンテンの一部はイタリアやユーゴスラビアに引き渡されました。特に、1920年に行われたケルンテン国民投票が行われ、地域住民はオーストリアへの帰属を選びました。

その結果、現在のケルンテン州はかつてのケルンテン公国の遺産として、オーストリアに保持されることとなりました。一方、イタリアへ割譲された地域は現在フリウリ＝ヴェネツィア・ジュリア州に含まれ、スロベニアに帰属する部分はコロシュカ地方を形成しています。

歴代のケルンテン公

ケルンテン公国の歴史においては、多数の王朝が交代し、歴代のケルンテン公がその統治を行いました。主な公家としては、ルイトポルト家、ザーリアー家、エッペンシュタイン家、シュポンハイム家以外にも、ハプスブルク家が特に重要な役割を果たしました。彼らの統治は地域の政治、文化、経済に影響を与える重要な要素であり、ケルンテン公国の歴史的な動向を形作りました。

このように、ケルンテン公国は長い歴史の中で多くの変化を経験し、今日のオーストリアやスロベニアの形成に深く関わる地域となっています。

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