ケルンSバーン

ケルンSバーン（ドイツ語: S-Bahn Köln）は、ドイツ西部の主要都市ケルンを中心とする都市近郊鉄道システムであり、ノルトライン＝ヴェストファーレン州南部、特にライン＝ジーク運輸連合の管轄区域で重要な役割を果たしています。ドイツ鉄道（DB）の地域旅客輸送部門であるDBレギオが「Sバーンケルン」として運行しており、一部では「ライン＝ジークSバーン」とも呼ばれています。このシステムは、ケルンを中心とした広範な地域を結び、住民の通勤・通学や移動に不可欠な交通手段となっています。

路線網の概要

ケルンSバーンはいくつかの系統で構成されており、主要な路線はケルン中心部を東西に貫く幹線であるケルン・ハンザリング駅とケルン見本市＝ドイツ駅の間を走行します。この区間はSバーン専用の高架線路が整備されています。S23系統およびS12系統の一部区間を除き、多くの系統では平日昼間時に概ね20分間隔という高頻度な運転が行われています。

ケルンSバーン網は、ライン＝ルールSバーンのS6系統の一部と運行区間が重複している箇所があります。また、普通列車として運行されているRB25系統も、その運行形態からSバーン路線網の一部とみなされることがあります。さらに、RB23系統はS23系統と直通運転を行うなど、他の鉄道路線とも連携しています。

歴史的発展

ケルンSバーンの歴史は、1975年6月1日にS11系統が運行を開始したことに始まります。当初はケルン・コルヴァイラー駅とベルギシュ・グラートバッハ駅間を結び、一部区間では電化が整備されていました。S11系統はその後延伸を重ね、1977年にはヒェルヴァイラー北駅まで、1980年代後半にはデュッセルドルフ方面のノイス駅まで到達しました。運行開始当初は141形電気機関車とN客車のプッシュプル編成が、後の延伸時にはX客車と111形電気機関車が導入されています。

1980年代には、非電化区間を活用した「シティーバーン」の試験運行が行われました。これにより、非電化区間における効率的な旅客輸送の可能性が示され、その後のSバーン計画に影響を与えました。

ケルン市内のインフラ整備も進みました。1985年から1989年にかけてホーエンツォレルン鉄道橋が拡張されSバーン線路が増設されたほか、見本市＝ドイツ駅のホームも改良されました。1990年5月には、ケルン都市鉄道との結節点となるケルン・ハンザリング駅が開業し、市内の交通ネットワークにおけるSバーンの地位が向上しました。

1991年6月2日には、第二次路線拡張としてライン＝ルールS6系統がケルン中心部に乗り入れを開始しました。また、S12系統がケルン・ニッペス駅とアウ駅（ジーク）間で新設され、アウ以遠は普通列車として直通運転を行いました。これらの系統には当初111形や143形機関車、X客車が使用されましたが、2000年頃からは新型の423形電車がS12系統に投入され始めました。

第三次路線拡張は、ケルン - アーヘン間の鉄道路線改良と連動して行われました。2002年12月15日には、ケルン・ハンザリング駅とデューレン駅間にSバーン用の緩行線が整備され、S13系統が新設されました。この系統は、2004年6月にケルン・ボン空港へのアクセス線が開通したことで、空港駅を経由してトロイスドルフ駅まで延伸され、空港への重要なアクセス手段となりました。同時期には、ジーク線の駅改良工事も進められました。

2005年以降、ドイツ鉄道は「ケルンSバーン」という呼称を公式に用い始め、認知度向上に努めました。2009年にはS11系統がデュッセルドルフ空港駅まで直通運転を行うようになりました。

2010年代後半には、S13系統の運行形態に変更が見られました。ラッシュ時の補助系統としてS19系統が登場し、2015年にはS12系統との運行区間の一部が入れ替えられました。しかし、2020年12月のダイヤ改正をもってS13系統はS12・S19系統に統合されました。将来的には、トロイスドルフ駅とボン・オーバーカッセル駅間を結ぶ新線がSバーン網に組み込まれる計画があり、その際にはS13系統が復活する予定です。

使用車両

ケルンSバーンでは、ライン＝ルールSバーンと同様に複数の車両形式が運用されています。電化区間では主に電車が使用されており、S11、S12、S19系統では多数の423形電車が主力として活躍しており、一部に420形も使用されています。特にS11系統の423形は一等席を備えているのが特徴です。ライン＝ルールS6系統には422形電車が投入されています。一方、非電化区間であるS23系統では622形気動車が使用されています。かつてハノーファーSバーンで用いられた424形電車も転属してきましたが、現在は改造のため運用を離れており、将来的な再投入が検討されています。

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