ケレスティヌス1世 (ローマ教皇)

ケレスティヌス1世は、422年から432年までローマ教皇を務めた人物です。カンパニア出身のローマ人で、若い頃の詳しい記録は残っていませんが、一時期ミラノでアンブロシウスと共に過ごしたとされています。教皇になる前は助祭として活動していました。

彼は教皇として、正統信仰の擁護に力を注ぎました。特に、ネストリウス派を異端として排斥するために、431年のエフェソス公会議に代理人を派遣し、ネストリウス派を非難する決議を支持しました。また、ペラギウス主義を批判し、その教えが広まるのを防ごうとしました。

ケレスティヌス1世は、教会の宣教活動も積極的に支援しました。431年には、パラディウスをアイルランドに司教として派遣し、キリスト教の普及に貢献しました。彼の後を継いだパトリキウスもアイルランドで宣教活動を行いました。一方、ローマでは、ノヴァティアヌス派を教会から切り離し、その活動を制限するなど、異端に対する厳しい措置を講じました。また、前任者が定めた教会の規則を尊重し、改革を拒否する姿勢を示しました。

ケレスティヌス1世は、教会の伝統を重んじ、聖職者に対しても、教義の誤りを見過ごさないよう求めました。ガリアの聖職者に対して、異端に対して沈黙することを戒め、「沈黙によって過ちを助長している」と批判し、異端の説教を制限するよう指示しました。

彼は432年7月26日に死去し、当初はサラリア街道沿いの共同墓地に埋葬されましたが、後にサンタ・プラッセデ大聖堂に移されました。彼は、教会によって聖人として崇敬されており、絵画においては、鳩、ドラゴン、炎と共に描かれています。カトリック教会では4月6日、正教会では4月8日が彼の記念日となっています。

ケレスティヌス1世は、その教皇としての短い期間の中で、教会の教義を守り、宣教活動を支援し、異端に対抗するなど、多岐にわたる活動を行いました。彼の信仰に対する情熱と、教会への献身は、後世の人々に大きな影響を与えました。彼の遺産は、今日でも多くの人々にインスピレーションを与え続けています。

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