サラリア街道

サラリア街道（Via Salaria）は、古代ローマ時代に建設された重要な街道の一つです。ローマ（アウレリアヌス城壁のサラリア門）を起点とし、アドリア海に面した Castrum Truentinum（現在のポルト・ダスコリ）までを結ぶ、全長242kmの道です。Reate（現在のリエーティ）と Asculum（現在のアスコリ・ピチェーノ）を経由しています。

"salaria" とはラテン語で「塩」を意味し、その名の通り、サビニ人がテヴェレ川河口付近の沼地まで塩を採取しに行く際に使われた道でした。ヨーロッパ各地に存在する古代の塩の道の一つであり、ローマの都市としての起源に深く関わっていたと考える歴史家もいます。塩は古代において非常に重要な物資であり、その交易路は経済や文化の発展に大きく貢献しました。

サラリア街道は、単なる交易路としてだけでなく、軍事的な目的にも使用されました。ローマ軍は、この街道を利用して迅速に兵力を移動させ、領土の拡大と維持に貢献しました。街道沿いには、宿場や砦が設けられ、旅人や兵士の安全を確保していました。

街道の山岳部分には、古代の道の名残が今でも見られます。石畳の道や橋の跡は、当時の土木技術の高さを物語っています。これらの遺跡は、歴史愛好家や観光客にとって貴重な見学スポットとなっています。

現代においては、国道4号線 (Strada Statale 4) がサラリア街道と同じ名で呼ばれており、ローマからオステリア・ヌオーヴァまでを結ぶ全長51kmの道路として利用されています。古代の街道のルートを一部踏襲しており、歴史と現代が交錯する道となっています。

街道沿いには、古代ローマ時代の橋がいくつか残っています。これらの橋は、当時の技術力を示す貴重な遺産であり、現在もその姿を見ることができます。

主なローマ橋：

Ponte del Gran Caso
Ponte della Scutella
Ponte d’Arli
Ponte di Quintodecimo
Ponte Romano (Acquasanta)
Ponte Salario
Ponte Sambuco

サラリア街道は、古代ローマの歴史と文化を今に伝える貴重な遺産です。その道は、塩の交易路として、軍事的な道として、そして人々の生活を支える道として、重要な役割を果たしてきました。現在もその名残をとどめる街道を歩けば、古代ローマの息吹を感じることができるでしょう。

Via Salaria (Platner and Ashby's A Topographical Dictionary of Ancient Rome, London: Oxford University Press, 1929)

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