ケレタロ:歴史と文化が息づくメキシコの世界遺産都市
ケレタロは、
メキシコ中部の
ケレタロ州に位置する州都であり、同州最大の都市です。正式名称はサンティアゴ・デ・ケレタロ。美しい歴史的建造物が数多く残る街並みは、ユネスコの
世界遺産に登録されています。その起源は16世紀に遡り、
メキシコの独立や憲法制定など、重要な歴史的出来事の舞台ともなりました。
ケレタロの歴史
ケレタロの歴史は、
1531年7月25日に
スペイン人のエルナン・ペレス・ボカネグラ・イ・コルドバと、同盟関係にあった
オトミ族のリーダー、コニン(後のフェルナンド・デ・タピア)がこの地に到達したことから始まります。当時、
アステカ帝国の支配下にあった
オトミ族の行政長であったコニンは、
スペイン人と協力し、原住民との戦いを繰り広げました。
伝説によると、戦いが佳境に入った時、皆既日食が起こり、原住民を恐れさせたと言われています。
スペイン人は、白い馬に乗った聖ヤコブ(
スペインの守護聖人)のイメージを見たと主張し、原住民は降伏しました。この出来事から、町はサンティアゴ(聖ヤコブ)の名を冠するようになったと伝えられています。
しかし、
スペインの支配は一回の戦いで確立されたものではありませんでした。1520年代には、現在の
ケレタロ州南部と
メヒコ州北部に住む
オトミ族や
チチメカ族は、依然として旧領主の支配下にあり、エルナン・コルテスと同盟していました。
スペイン人は、当初非暴力的な手段でこの地域を服従させようと試みましたが、原住民の反発に遭い、ウィミルパンやアカンバロといった都市を建設せざるを得ませんでした。
その後、
スペイン人はコニンとの交渉を続け、彼の協力を得て、チチメカ・
オトミ族との紛争を終結させました。コニンは、新都市における先住民と
スペイン人を分離し、先住民をサングレマル丘とその周辺に、
スペイン人を現在の歴史的中心部の周辺に居住させました。1535年には最初の議会が開催され、1537年にはプエブロ・デ・インディオス(インディオの村)と命名され、エンコミエンダ制は終わりました。
この間、
フランシスコ会をはじめとする修道会が布教活動を行い、コンベント・グランデやサンタ・クルス修道院などの修道院が建設されました。ケレタロは当初インディオのプエブロとされましたが、1606年にはビジャとなり、1665年には都市(Ciudad)として認められ、現在も使われている市章が与えられました。
1822年に
メキシコが独立すると、当初ケレタロを首都とする案もありましたが、実現しませんでした。
米墨戦争中の1848年には、臨時に
メキシコ政府がケレタロに移転しました。1867年には、
メキシコ皇帝マクシミリアンがケレタロの鐘の丘で銃殺されました。また、
メキシコ革命中の1916年から1917年には、
ベヌスティアーノ・カランサ大統領がケレタロで憲法制定会議を開き、現在の
メキシコ憲法が制定されました。
1940年代からケレタロの工業化が進行し、1986年にはFIFAワールドカップの開催地のひとつとなりました。21世紀に入り、
メキシコ国内で
麻薬カルテル絡みの暴力が蔓延する中、ケレタロは比較的安全な都市とされてきましたが、
2024年には市内で銃乱射事件が発生し、多くの犠牲者が出るという痛ましい事件も起きています。
世界遺産「ケレタロの歴史的建造物地区」
ケレタロの歴史地区は、1996年にユネスコの
世界遺産に登録されました。登録基準は以下の通りです。
(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
ケレタロの歴史地区には、バロック様式の教会や修道院、美しい庭園や広場など、数多くの歴史的建造物が残されています。これらの建造物は、ケレタロの豊かな歴史と文化を物語っており、訪れる人々を魅了しています。
姉妹都市
ケレタロは、世界各国の都市と姉妹都市提携を結んでいます。
オレンジ(アメリカ合衆国)
ホランド(
アメリカ合衆国)
ベーカーズフィールド(アメリカ合衆国)
麗水市(
大韓民国)
サンティアゴ (チリ)(チリ)
サンティアゴ・デ・カリ(
コロンビア)
カラカス(ベネズエラ)
サンティアーゴ・デ・クーバ(
キューバ)
ハラパ(メキシコ)
サンティアゴ (
パラグアイ)(
パラグアイ)
*
サンティアゴ・デ・コンポステーラ(
スペイン)
まとめ
ケレタロは、豊かな歴史と文化、美しい街並みが魅力の都市です。
世界遺産に登録された歴史地区を散策したり、地元の料理を味わったり、様々なアクティビティを楽しむことができます。
メキシコを訪れる際には、ぜひケレタロに足を運んでみてください。