ケンとエリカ

『ケンとエリカ』：江口寿史ワールド全開のギャグ漫画傑作選

人気漫画家、江口寿史氏によるギャグ漫画の単行本『ケンとエリカ』は、『BOXERケン』と『エリカの星』という人気シリーズを1冊にまとめた、まさに江口ワールド全開の作品です。連載誌も異なる全く無関係の2作品を1冊に収録するという大胆な構成も、この作品ならではのユーモラスな魅力となっています。

単行本化に際しては、それぞれの主人公であるケンとエリカが、まさかの見合いをするという描き下ろし短編「ケンとエリカ」と「エリカとケン」が追加され、さらに、あとがき漫画も収録されています。さらに、表紙と裏表紙にはシール加工が施されており、当時「業界初シールカバー」として話題を呼びました。2003年には、双葉社より文庫版も発売されています。

ボクシング漫画『BOXERケン』：3回落稿したら打ち切り!?

『BOXERケン』は、1992年から1993年にかけて『週刊ビッグコミックスピリッツ』の巻末2色ページおよび『増刊スピリッツ』で連載されたギャグ漫画です。4コマ漫画が中心ですが、1ページ漫画も多く収録されています。連載開始当初は、「3回原稿を落稿したら即時打ち切り」という、大胆な企画のもと連載が始まりました。予想通り、3回落稿したものの、「あれはスリップダウンだった」というまさかの展開で連載は継続されましたが、その後も落稿が続き、ついに予定通り連載は打ち切りとなりました。

物語の中心は、アニマル・ケンを中心とした、ボクシングの世界アニマル級です。主人公のアニマル・ケンは、野良犬から世界チャンピオンに上り詰めたものの、街角でチケットを手売りしたり、防衛戦に勝っても控室に放置されたりと、どこか不遇な境遇にあります。彼を取り巻く個性豊かなキャラクター達も、この作品の魅力の一つです。なお、登場人物の多くは、江口氏の他の作品『キャラ者』にも再登場しています。

トレンディドラマ風ギャグ漫画『エリカの星』：美少女エリカの奮闘記

一方、『エリカの星』は、1985年から1991年にかけて『週刊漫画アクション』に不定期掲載されたギャグ漫画です。貧乏だが美少女のエリカを主人公に、毎回職業と舞台を変えながらも、基本設定はほぼ同じ登場人物で、ほぼ同じ役所で話が進む一話完結形式のストーリーが特徴です。トレンディドラマをパロディしたような要素も強く、独特の雰囲気を持っています。当初は全10話の予定でしたが、最終的に発表されたのは4話のみとなっています。

『ケンとエリカ』には、『エリカの星』の他に、『アクション』で連載されていた「江口寿史の爆発ディナーショー」に掲載された「南城エリカ物語」という4ページの短編も収録されています。さらに、『水戸黄門REVOLUTION』には、4ページの読切作品「御一行様」が掲載されましたが、こちらは単行本には収録されていません。

『エリカの星』は、当初「美少女不幸もの」「スポ根お笑いもの」「職業根性もの」「時代人情もの」など、様々なテーマが予定されていましたが、実際に発表されたのは「エリカの星」「恋のシンクロナイズドスイミング」「ハウスマヌカン物語」「キスはコピーのあとにして」の4話でした。

江口寿史作品の魅力：独特の画風とユーモア

『ケンとエリカ』は、江口寿史氏の代表作の一つとして、現在も多くのファンに愛されています。独特の画風と、笑いを誘うユーモアあふれるストーリーは、何度読んでも飽きることがありません。個性豊かなキャラクター達と、予測不能な展開に、あなたもきっと夢中になることでしょう。

本書を通して、江口氏ならではのユーモアと、独特のキャラクター造形、そして、どこか切ない感傷を味わうことができるでしょう。未読の方はもちろん、既に読んだことのある方にも、改めてこの傑作集を手に取ってみることをおすすめします。

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