ケンブリッジ (メリーランド州)

メリーランド州ケンブリッジ：歴史と文化が息づく町

ケンブリッジは、アメリカ合衆国メリーランド州の東海岸地域に位置する、ドーチェスター郡の郡庁所在地です。1684年にイングランド人開拓者によって設立されたこの町は、メリーランド州で最も古い町の一つとして知られています。人口は約1万3千人（2020年時点）で、東部海岸地域では4番目に大きな都市です。

歴史

ケンブリッジの歴史は、アルゴンキン語族のチョップタンク族インディアンが川沿いに住んでいた時代に遡ります。その後、イングランド人が入植し、農業が発展しました。当初はタバコ栽培が中心でしたが、次第に多様な作物が栽培されるようになりました。プランテーションでは奴隷労働が行われ、ケンブリッジは奴隷貿易の中心地となりました。

19世紀後半には、食品加工業が発展し、特にフィリップス・パッキング会社は地域最大の雇用主となりました。しかし、1960年代初頭には食品産業の衰退とともに同社は操業を停止し、多くの失業者を出すことになりました。

1960年代には、ケンブリッジは公民権運動の中心地となり、黒人たちは雇用や住居、公的施設の平等な権利を求めて戦いました。1963年と1967年には人種差別による暴力事件が発生し、州軍が治安維持に動員されました。この運動の指導者には、ブラックパンサー党のH・ラップ・ブラウンや地元の組織者グロリア・リチャードソンがいました。1964年には公民権法が成立し、公的な人種差別は終焉を迎えました。

2002年には、ハイアット・リージェンシー・チェサピーク湾リゾートの開業により、観光業が新たな経済の柱となり、地域経済は活性化しました。2007年には、共和党アメリカ合衆国下院議員総会が開催され、ジョージ・W・ブッシュ大統領が演説を行いました。

2003年には、ケンブリッジはメリーランド州のメインストリート町に指定され、歴史遺産を活かした観光振興が進められています。中心街の事業地区は1990年にアメリカ合衆国国家歴史登録財に指定され、歴史的な景観を保ちながら、観光地としての魅力が増しています。

地理と気候

ケンブリッジは、北緯38度33分59秒 西経76度4分37秒に位置し、チョップタンク川の南岸にあります。市の面積は12.64平方マイルで、そのうち18.20%が水域です。気候は温暖湿潤気候で、夏は暑く湿気が多く、冬は温暖または冷涼です。

文化と観光

ケンブリッジは、小説家ジェームズ・ミッチェナーの『チェサピーク物語』に登場する架空の町パタモークのモデルとなりました。

ラジオ局WCEMがAMとFMで放送を行っており、週刊新聞「ドーチェスター・バナー」が発行されています。

ケンブリッジには、以下の歴史的建造物や地区がアメリカ合衆国国家歴史登録財に指定されています。

ブリンスフィールドI史跡
ケンブリッジ歴史地区1区と3区
クライスト・エピスコパル教会と墓地
デールの権利（邸宅）
ドーチェスター郡庁舎と監獄
グラスゴー（邸宅）
ゴールズボロ邸
ラグランジ（邸宅）
アニー・オークリー邸
パトリシア（丸太カヌー）
パイン通り地域歴史地区
ロック・メソジスト・エピスコパル教会
スタンリー学校
シカモア・コテージ
ヤーマス（農場）

インフラ

アメリカ国道50号線がケンブリッジを南北に二分し、ケンブリッジ＝ドーチェスター空港があります。メリーランド・アンド・デラウェア鉄道は、ケンブリッジまで貨物列車を運行しています。

著名な出身者

ケンブリッジは、以下の著名な人物の出身地またはゆかりの地です。

ジェイ・Z：ラッパー、音楽プロデューサー
ビアトリス・アーサー：女優
ジョン・バース：小説家
スティーブン・アレン・ベンソン：第2代リベリア大統領
アニー・オークレイ：射撃の名手
* ハリエット・タブマン：逃亡奴隷、地下鉄道の活動家

ケンブリッジは、歴史と文化、そして美しい自然が融合した魅力的な町です。観光客は、この町の豊かな歴史と文化に触れ、美しい自然を満喫することができます。

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