ケン・グリムウッド

ケン・グリムウッド（Ken Milton Grimwood、1944年2月27日 - 2003年6月6日）は、アメリカ合衆国出身のSF・ファンタジー作家です。代表作である『リプレイ』は、世界幻想文学大賞を受賞し、日本でもベストセラーとなりました。彼はアラン・コクラン (Alan Cochran) というペンネームも使用していました。

アラバマ州ドーサンで生まれ、フロリダ州ペンサコーラで育ちました。バード大学で心理学を学んだ後、ロサンゼルスのラジオ局で編集者として働きながら、小説を執筆しました。1976年に「Breakthrough」でデビューし、『リプレイ』の成功を機に専業作家となりました。

処女長編である『Breakthrough』（1976年）は、ECコミックの影響を強く受けた作品で、SF、転生、ホラーなどの要素が織り交ぜられています。予測不能な結末が特徴ですが、商業的には成功しませんでした。しかし、評論家からの評価は高く、映画化の話も持ち上がりました。しかし、ほぼ同時期に発表されたDavid Williamsの『Second Sight』（1977年）と内容が酷似していることが指摘され、先に『Second Sight』がテレビ映画化されたため、『Breakthrough』の映画化は実現しませんでした。

彼の代表作である『リプレイ』（1988年）は、43歳のラジオ・ジャーナリストが、突然1963年の18歳の自分に戻り、25年間の記憶を持ったまま人生をやり直すという物語です。この作品は、時間ループという斬新な設定と、主人公の葛藤や成長を描いた感動的なストーリーで、世界中で高い評価を受けました。特に日本ではベストセラーとなり、多くの読者に愛されています。また、その時間ループ構造は、ハロルド・ライミスのコメディ映画『恋はデジャ・ブ』（1993年）に影響を与えたとも言われています。

『ディープ・ブルー』（1995年）は、グリムウッドのクジラ類への愛情と、イルカとの交流、イルカ同士のコミュニケーションに関する研究から生まれた作品です。イルカの知能を解明しようと奮闘する海洋生物学者を描き、イルカの視点から描かれたイマジネーション豊かな描写が特徴的です。グリムウッドは、マグロ漁の実態を取材するために、サンタバーバラのマグロ漁船に身分を隠して乗り込んだというエピソードも残っています。

2003年6月6日、カリフォルニア州サンタバーバラの自宅で心臓発作により亡くなりました。亡くなる直前まで、『リプレイ』の続編に取り組んでいたということです。

著作リスト

Breakthrough (1976、未訳)
Elise (1979、未訳)
Voice Outside (1982、未訳)
リプレイ Replay (1988) :1988年度世界幻想文学大賞受賞
ディープ・ブルー Into the Deep (1995)

関連項目
漫画「リプレイJ」（著：今泉伸二、原案: ケン・グリムウッド）

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