バード大学

バード大学：リベラルアーツの殿堂、その歴史と特色

バード大学は、アメリカ合衆国ニューヨーク州、風光明媚なアナンデール・オン・ハドソンに位置する名門私立リベラル・アーツ・カレッジです。その豊かな歴史と特色ある教育プログラムで、国内外から高い評価を受けています。

歴史：聖公会から独立へ

バード大学の起源は、ニューヨークの米国聖公会が設立した聖スティーヴン学院に遡ります。1928年にはコロンビア大学に一時的に併合されましたが、1934年に創設者ジョン・バードに敬意を表し、バード大学として独立しました。第二次世界大戦中には、ナチス・ドイツから逃れてきたハンナ・アーレントをはじめとする多くのヨーロッパ難民を受け入れ、知性の避難場所としての役割を果たしました。

ハンナ・アーレントとの深い繋がり

政治哲学者ハンナ・アーレントは、バード大学と特別な関係にありました。彼女は、バード大学の学長であるレオン・ボットスタインに招かれ教鞭をとることを決意しましたが、急逝。彼女の遺言により、夫であるハインリッヒ・ブリュッヒャーの墓の傍らに埋葬されました。ブリュッヒャーもまたバード大学で哲学を教え、夫婦の影響は大学のカリキュラムに深く根付いています。学内には、アーレントの蔵書を収めたハンナ・アーレント図書館や、ハンナ・アーレント・センターが設置されています。

CCS（Center for Curatorial Studies）：現代アートの最前線

バード大学は、現代アートのキュレーションを専門的に学べるCCS（Center for Curatorial Studies）があることでも知られています。CCSは、アメリカで最も歴史のあるキュレーター養成のための修士課程プログラムの一つであり、数多くの優秀なキュレーターを輩出してきました。

音楽教育：世界に羽ばたく才能を育成

バード大学では、学部生が音楽とリベラルアーツの両方の学士号を5年間で取得できるデュアル・ディグリープログラムを提供しています。特にクラシック音楽教育は盛んで、現学長のレオン・ボットスタインの指揮のもと、オーケストラが中国、東欧、キューバなど世界各地で公演を行っています。また、ジョン・ケージ・トラストの本部が学内にあり、現代音楽教育にも力を入れています。

多様な分野で活躍する著名な教員と卒業生

バード大学は、著名な教員と卒業生を数多く輩出しています。教員には、イアン・ブルマ、オルハン・パムク、ジョアン・タワー、ジョン・アッシュベリー、チヌア・アチェベなどが名を連ねています。卒業生には、ミュージシャンのウォルター・ベッカーとドナルド・フェイゲン（スティーリー・ダン）、映画監督のトッド・ヘインズ、俳優のチェビー・チェイス、写真家のハーブ・リッツなどがいます。

バード大学は、リベラルアーツ教育の伝統を守りながら、常に時代の変化に対応し、新たな教育の可能性を追求しています。多様な分野で活躍できる人材を育成することで、社会に貢献し続けています。

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