ゲオルギオス2世 (ギリシャ王)

ゲオルギオス2世：激動の時代を生きたギリシャ国王

ゲオルギオス2世（1890年7月20日 - 1947年4月1日）は、ギリシャの国王として、激動の20世紀前半を駆け抜けました。彼の生涯は、二度の王位、二度の亡命、世界大戦への参戦、そして内戦と、まさに波乱に満ちたものでした。

生い立ちと王太子時代

ゲオルギオスは、ギリシャ王太子コンスタンティノス（後のコンスタンティノス1世）の長男として、アテネ郊外のタトイで生まれました。母はドイツ皇帝フリードリヒ3世の娘ゾフィー。彼は幼い頃から帝王学を学び、18歳になるとプロイセンで軍事訓練を受けました。バルカン戦争では、第一ギリシャ歩兵連隊の一員として従軍し、その勇猛さを示しました。1913年に祖父ゲオルギオス1世が暗殺されると、王太子（ディアドコイ）となり、スパルタ公の称号を与えられました。

第一次世界大戦と亡命

第一次世界大戦が勃発すると、ギリシャは中立を維持しようとしましたが、親独感情を持つ父王コンスタンティノス1世と、連合国を支持する首相エレフテリオス・ヴェニゼロスとの対立が深刻化しました。1917年、コンスタンティノス1世は退位を余儀なくされ、本来であれば王太子ゲオルギオスが即位するはずでしたが、彼は父に従ってスイスへ亡命することを選びました。代わりに、弟のアレクサンドロスがアレクサンドロス1世として即位しました。

1920年、アレクサンドロス1世が急死したため、コンスタンティノス1世は復位し、ゲオルギオスも帰国しました。1921年には、ルーマニア国王フェルディナンド1世の娘エリサベタと結婚しましたが、夫婦間に子供は恵まれず、1935年に離婚しています。

二度目の王位と共和制

希土戦争での敗北を受けて、コンスタンティノス1世は再び退位し、1922年9月27日、ゲオルギオス2世がギリシャ王位を継承しました。しかし、政治的な混乱は収まらず、1923年には政府によって国外追放を余儀なくされ、ルーマニア、イギリス、そして母の住むフィレンツェで亡命生活を送ることになりました。1924年3月25日、ギリシャ政府は共和制を宣言し、ゲオルギオス2世の王位は剥奪されました。

王政復古と第二次世界大戦

1935年、ギリシャで王政復古を求める声が高まり、国民投票の結果、君主制の復活が決定しました。ゲオルギオス2世はギリシャに帰還し、再び王位に就きました。しかし、平穏な日々は長くは続きませんでした。1939年に第二次世界大戦が開戦すると、ギリシャは当初中立を維持しましたが、1940年、イタリアがギリシャに侵攻し、ギリシャは連合国側として参戦することになりました。

ドイツ占領と二度目の亡命

ギリシャはイタリア軍の侵攻を一時的に食い止めましたが、1941年、ナチス・ドイツがギリシャに侵攻すると、戦況は一変しました。ドイツ軍はアテネを占領し、ゲオルギオス2世はクレタ島に逃れましたが、そこもドイツ軍の手に落ち、再び亡命を余儀なくされました。彼はエジプトを経由してイギリスに亡命し、亡命政府を率いて連合国を支援しました。

帰国と内戦、そして崩御

1944年、ギリシャは連合国によって解放されました。1946年9月1日の国民投票で王政が支持されると、ゲオルギオス2世はアテネに帰還し、三度目の王位に就きました。しかし、国内は再び混乱に陥り、国民解放戦線が王政とイギリス軍の駐屯に反対してギリシャ内戦が再開されました。内戦のさなか、1947年4月1日、ゲオルギオス2世はアテネの宮殿で心臓発作を起こし、56歳で崩御しました。

ゲオルギオス2世の生涯は、ギリシャの激動の歴史を象徴するものでした。彼は、政治的な混乱、戦争、亡命といった苦難を経験しながらも、ギリシャの君主としてその責務を果たそうと努めました。彼の決断は時に批判も受けましたが、彼の愛国心と祖国への献身は、多くの人々に感銘を与えました。

もう一度検索