ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン

ゴットフリード・フォン・ベルリヒンゲン：鉄腕ゲッツの生涯

ゴットフリード・フォン・ベルリヒンゲン（1480年11月15日 - 1562年7月23日）は、中世ドイツの騎士であり、「鉄腕ゲッツ」の異名で知られています。彼は、戦場で片腕を失いながらも、鋼鉄製の義手を装着して戦い続けた不屈の人物でした。

伝説と史実

ベルリヒンゲンは、史実の人物としてよりも、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテが24歳の時に書いた戯曲「鉄の手のゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン」の主人公として広く知られています。ゲーテの作品では、彼は英雄的に描かれていますが、実際のベルリヒンゲンは、フェーデ（私闘）を悪用した強盗、恐喝、追いはぎを繰り返して財産を築いた、いわゆる強盗騎士でした。彼は非常に血の気が多く、戦いには常に首を突っ込まざるを得ない性分だったと言われています。

義手と武勲

ベルリヒンゲンの最も特徴的な点は、失った右腕の代わりに装着した鉄製の義手でした。初期の義手は剣を握るためのギミックを備えており、後に左手で手綱を握ることができるように改良されました。彼の使用していた義手は、現在では博物館となっているホルンベルク城に現存しています。

生涯と遍歴

1480年頃、ベルリヒンゲン（現在のシェーンタールの一部）で生まれたベルリヒンゲンは、ブランデンブルク＝アンスバッハ辺境伯フリードリヒ2世のもとで騎士としての修行を積みました。ランツフート継承戦争では、神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世側として参戦し、ランツフート包囲戦で敵の大砲の砲撃により右腕を失いました。しかし、彼は鋼鉄の義手を装着し、兵士としての道を歩み続けました。

1519年にはヴュルテンベルク公ウルリヒに仕えましたが、シュヴァーベン同盟との戦いで敗北し、ハイルブロンで3年間監禁されました。ドイツ農民戦争では、農民側の隊長として戦いましたが、責任を問われ2年間の幽閉生活を送ることになりました。その後も10年近い軟禁生活を強いられました。

解放後、神聖ローマ皇帝カール5世に従い、トルコ戦争やフランス戦争に従軍しました。晩年には、ネッカーツィンメルンのホルンベルク城の主となり、「ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン・ツゥ・ホルンベルク」と改名しました。そして1562年7月23日、ホルンベルク城で生涯を閉じました。

ベルリヒンゲンの時代

ベルリヒンゲンの生きた時代は、神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世が「最後の騎士」と呼ばれた時代であり、騎士の時代が衰退していく過渡期でした。ベルリヒンゲンは、その激動の時代を生き抜いた、特異な存在と言えるでしょう。

関連事項と参考文献

ベルリヒンゲンは、第17SS装甲擲弾兵師団の部隊の象徴としても用いられています。彼の生涯についてより深く知りたい場合は、以下の文献を参照してください。

• - 鉄腕ゲッツ行状記 ISBN 9784560026298

ベルリヒンゲンは、その鉄の義手と波乱に満ちた生涯を通じて、中世ドイツの騎士道精神と激動の時代を象徴する人物として、今日でも多くの人々に語り継がれています。

もう一度検索