ゲット・ヒア

GET HERE

1988年にリリースされたブレンダ・ラッセルの通算4作目にあたるソロ・アルバム。古巣A&Mレコードへの復帰第一弾として発表されました。

制作背景

本作に先立つ1984年、ブレンダは一時滞在していたスウェーデンにて、現地のレーベルWEA-METRONOME RECORDSと契約しアルバム『HAVING FUN NOW』を制作しました。しかし契約上の問題からこのアルバムはお蔵入りとなり、リリースされたのはシングル「This Time (I Need You) / Make My Day」のみに留まりました。本作には、この幻のシングル収録曲2曲が新たにリテイクされ収録されています。さらに、お蔵入りとなったアルバムからの音源をリテイクしたものと思われるタイトル曲「GET HERE」も含まれており、スウェーデンでの活動が本作の重要な基盤の一つとなっています。

制作体制

スウェーデンで録音されたと思われる3曲「This Time I Need You」「Make My Day」「Get Here」は、オリジナルのプロデューサーであるスウェーデンのシンガー兼ギタリスト、Peter O.Ekbergに加え、Per Lindvall（ドラム）、Peter Ljung（シンセサイザー）、Anders Neglin（シンセサイザー）、Henrik Janson（ギター）、Sam Bengtsson（ベース）といった地元で活躍する多数のミュージシャンが参加した音源をベースにしています。これらにAndré Fischerの采配により、著名なミュージシャンによる新たな演奏が加えられリテイクされたと見られます。一方、それ以外の楽曲は、ブレンダと旧知の仲であるAndré Fischer、そして本作で初めて組むことになったStanley Clarkeが新たに制作したものが中心となっています。Stanley Clarkeはプロデューサーとしてだけでなく、「Gravity」「Just A Believer」といった楽曲でブレンダと共に制作を手掛けています。

収録曲とハイライト

本作は全8曲で構成されています。各曲には国内外の著名なミュージシャンが多数参加しており、クオリティの高いサウンドを聴かせています。

Gravity (POP No.49 / R&B No.42): アルバムからの最初のシングルカット。映画『ミスター・アーサー2』のサウンドトラックにも収録されました。
Piano In The Dark (POP No.6 / R&B No.8 / AC No.3): 本作最大のヒット曲であり、ブレンダにとってシンガーとして唯一の全米TOP10ヒットとなりました。グラミー賞では作曲賞にもノミネートされた代表曲です。
This Time I Need You と Make My Day: 前述のスウェーデン時代のシングル収録曲のリテイク。「Make My Day」は元々1984年にDenroy Morganに提供した楽曲のセルフカバーです。
Le Restaurant (R&B No.93): シングルカットされ、アジアの張學友や日本の奥永知子といった異色のアーティストにカヴァーされています。デヴィッド・サンボーンやヴィニー・カリウタなど豪華ミュージシャンが参加。
Get Here (R&B No.37): アルバムタイトル曲。ブレンダのオリジナルも評価が高いですが、1990年にオリータ・アダムスがカヴァーし全米5位の大ヒットを記録したことで、世界的に広く知られることになりました。ジョー・サンプルがローズ・ピアノで参加しています。

また、元々はドナ・サマーがヒットさせた「Dinner With Gershwin」も本作のために用意されていましたが、ドナ側からの依頼により提供され、本作には収録されませんでした（後に1990年のアルバム『KISS ME WITH THE WIND』で新たに録音され収録されています）。

チャート成績と入手性

アルバム自体は全米ポップチャートで最高位49位、R&Bチャートで20位を記録しました。特に「Piano In The Dark」の大ヒットにより、ブレンダ・ラッセルのキャリアを代表する作品の一つとなりました。

日本国内では1988年にLP、カセット、CDでリリースされましたが、以降新たな再発はされておらず現在廃盤となっています。一方、海外では同番の商品が長く流通しており、現在でも比較的容易に入手可能です。

国内盤情報 (1988年 ポニーキャニオン):
LP: C28Y-3224
CT: 28P-31103
CD: D32Y-3208

もう一度検索