ブレンダ・ラッセル

ブレンダ・ラッセル

ブレンダ・ラッセル（Brenda Russell）は、1949年4月8日生まれのアフリカ系アメリカ人ミュージシャンです。彼女はシンガーソングライターとして自身の歌声を披露するだけでなく、卓越したキーボードの演奏技術も持っています。ソロアーティストとしてのキャリアを築く傍ら、ソングライターとしても目覚ましい才能を発揮。スティーヴィー・ワンダー、アレサ・フランクリン、アース・ウィンド・アンド・ファイアー、ドナ・サマー、スティングといった世界のトップアーティストたちに数多くの楽曲を提供し、音楽業界におけるその存在感を示しています。特に代表曲として知られるのは、「ピアノ・イン・ザ・ダーク」です。

略歴

ブレンダ・ラッセルは、著名なヴォーカルグループ、ジ・インク・スポッツのメンバーだったガス・ゴードンを父に持ち、音楽的な素養を受け継いでいます。幼少期をカナダで過ごし、12歳の時にオンタリオ州ハミルトンに移りました。10代に入ると、地元のバンドで精力的に音楽活動を開始。多感な時期には、後にミュージカル『ヘアー』で有名になるトロントのプロダクションに関わるなど、多様な音楽体験を積みました。

1970年代初頭、彼女はブライアン・ラッセルと結婚し、「ブライアン＆ブレンダ・ラッセル」というユニットを結成します。彼らはエルトン・ジョンが主宰するレーベル、ロケット・レコードと契約し、1976年に『World Called Love』、1977年に『Supersonic Lover』という2枚のアルバムを発表しました。ユニット活動と並行して、ロバート・パーマーのソウルポップ・アルバム『ダブル・ファン』に2曲で参加したり、シェリル・ラッドやチャカ・カーンが在籍した人気ファンクバンド、ルーファスなどに楽曲を提供するなど、ソングライターとしての活動も行っていました。しかし、1970年代後半にブライアンと離婚。これを機にロサンゼルスへと拠点を移し、ソロアーティストとしての道を歩み始めます。

ロサンゼルスに移ったブレンダは、1979年にプロデューサーのトミー・リピューマが率いるホライズン・レコードと契約を締結。デビューシングルとして発表した「ソー・グッド、ソー・ライト」がヒットを記録し、幸先の良いスタートを切ります。しかし、ホライズン・レコードは突如活動を停止。彼女はホライズンの親会社であったA&Mレコードと改めて契約を結び、同年にセルフタイトルのソロデビューアルバム『ブレンダ・ラッセル』をリリースしました。このアルバムに収録された「If Only For One Night」は、後にルーサー・ヴァンドロスによってカバーされ、ヒットしました。その後、1981年にはアルバム『ラヴ・ライフ』をリリースし、キャリアを重ねます。続いてワーナー・ブラザース・レコードに移籍し、1983年にアルバム『出逢いのときめき』を発表。この頃、彼女は一時的に活動拠点をスウェーデンに移しました。

ワーナーから再びA&Mレコードに戻ったブレンダは、1988年にアルバム『ゲット・ヒア』を発表します。このアルバムは商業的に大きな成功を収め、収録曲である「ピアノ・イン・ザ・ダーク」はグラミー賞において主要3部門にノミネートされるなど、彼女の代表曲となりました。1990年代に入ると、自身のソロアルバム制作のペースは緩やかになりますが、ソングライターとしての創作活動は一層活発化。ティナ・ターナー、フィル・ペリー、トム・スコット、ダイアナ・ロス、レイ・チャールズ、レジーナ・ベル、イヴァン・リンス、ジョー・コッカー、カーク・ウェイラムといった錚々たる顔ぶれのミュージシャンたちに楽曲を提供し、その非凡な才能を世界に示しました。また、小比類巻かほるや阿川泰子など、日本のアーティストにも楽曲を提供するなど、その活動範囲は国際的です。

2000年代に入っても、彼女の音楽活動は続きます。2000年にはヒドゥン・ビーチ・レコーズよりアルバム『パリ・レイン』をリリース。同名のタイトル曲「Love And Paris Rain」は、元々イエロージャケッツのアルバムに彼女がゲスト参加した際に披露されたものであり、このアルバムにはイエロージャケッツのキーボーディスト、ラッセル・フェランテも参加しています。

さらに、2005年にはアリス・ウォーカーの有名な小説『カラーパープル』がブロードウェイでミュージカル化された際、アリー・ウィリス、ステファン・ブレイと共にスコアの制作を手がけるなど、ミュージカル分野でもその才能を発揮しています。

ディスコグラフィ

スタジオ・アルバム

『ブレンダ・ラッセル』 - Brenda Russell (1979年、A&M)
『ラヴ・ライフ』 - Love Life (1981年、A&M)
『出逢いのときめき』 - Two Eyes (1983年、Warner Bros.)
『ゲット・ヒア』 - Get Here (1988年、A&M)
『キス・ミー・ウィズ・ザ・ウインド』 - Kiss Me With The Wind (1990年、A&M)
『ソウル・トーキン』 - Soul Talkin (1993年、EMI)
『パリ・レイン』 - Paris Rain (2000年、Hidden Beach)
『ビトウィーン・ザ・サン・アンド・ザ・ムーン』 - Between The Sun And The Moon (2004年、Dome / Narada Jazz)

コンピレーション・アルバム

『グレイテスト・ヒッツ』 - Greatest Hits (1992年、A&M)
Ultimate Collection (2001年、Hip-O)
So Good So Right: The Best Of Brenda Russell (2003年、Dome)
In The Thick Of It: The Best Of Brenda Russell (2009年、Dome)

シングル

「ソー・グッド、ソー・ライト」 - "So Good, So Right" (1979年)
"In The Thick Of It" (1979年)
"Way Back When" (1980年)
"If You Love (The One You Lose)" (1981年)
「ピアノ・イン・ザ・ダーク」 - "Piano in the Dark" (1988年)
「グラヴィティ」 - "Gravity" (1988年)
「ゲット・ヒア」 - "Get Here" (1988年)
"Le Restaurant" (1989年)
"Stop Running Away" (1990年)
"Tell Me This Night Won't End" (1991年) ※ジェラルド・アルストンとのデュエット
"No Time For Time" (1993年)
"Something About You" (2001年)
"I Know You By Heart" (2004年)

リードボーカルで参加したシングル等

渡辺貞夫 : 「ティップ・アウェイ」 - "Tip Away" (1985年)
渡辺貞夫 : 「メン・アンド・ウィメン」 - "Men And Women" (1985年)
マイケル・フランクス : "When I Give My Love To You" (1985年) ※フィーチャリング
ハーブ・アルパート : "You Are The One" (1985年) ※フィーチャリング
ロドニー・フランクリン : "Look What's Showing Through" (1986年)
イヴァン・リンス : "You Moved Me To This" (1989年)
トム・スコット : "If You're Not The One For Me" (1991年) ※アルバム『キープ・ジス・ラヴ・アライヴ』収録。ビル・チャンプリンと参加
オリータ・アダムス : "We Will Find A Way" (1994年) ※共同名義

関連項目

ヴォイセス・ザット・ケア - 参加したチャリティー・シングル

外部リンク

公式ウェブサイト
Dome Records
Narada Jazz
Discogs（英語）

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