ゲティ家の身代金

映画『ゲティ家の身代金』

『ゲティ家の身代金』（All the Money in the World）は、2017年に公開されたアメリカ・イギリス合作の映画です。この作品は、1973年に起こった実際の誘拐事件を題材にしています。物語の中心となるのは、当時“世界一の大富豪”と名高いジャン・ポール・ゲティの孫であるジョン・ポール・ゲティ3世の誘拐事件です。

映画の監督を務めたのはリドリー・スコットであり、主演にはミシェル・ウィリアムズ、クリストファー・プラマー、マーク・ウォルバーグなどが名を連ねています。特に、プラマーは降板したケヴィン・スペイシーの代役として出演し、急いで撮影を行ったことで注目を集めました。

ストーリーの概要

物語は1973年7月、ローマで始まります。ジャン・ポール・ゲティは、石油取引を通じて築いた巨額の富を誇りますが、家族との関係は冷え切っています。ある晩、彼の孫であるジョン・ポール・ゲティ3世が街で誘拐されます。誘拐犯は彼を捕らえ、莫大な身代金として1,700万ドルを要求します。

ポールの母、ゲイルは元夫と離婚後、息子と共に、裕福な家族から離れた生活を送っていました。彼女はゲティに助けを求めますが、ゲティはビジネスのことばかり気にし、身代金の支払いには応じない姿勢を貫きます。彼は「他の孫たちも危険にさらされる」との理由を挙げ、ポールを見捨てるように見えます。

全体を通じて、一連の緊迫した状況が描かれ、ポールは恐怖の中で誘拐犯たちと対峙することになります。彼は何度か脱出を試みますが、再び捕らえられたり、危険にさらされたりします。特に彼の耳を切断されるという残酷な事件は、状況の厳しさを際立たせます。

ゲイルは、ついにゲティが身代金を払うという情報を聞きますが、その代わりに彼女は息子の親権を譲ることを余儀なくされます。彼女はメディアに向けて身代金の全額を支払うと発言し、事態を更に複雑にします。事件はクライマックスへ向かい、様々なドラマが展開します。

キャストと製作

この映画には、ミシェル・ウィリアムズ、クリストファー・プラマー、マーク・ウォルバーグらが出演しています。それぞれの役者が持ち味を生かしつつ、緊迫感のある演技で観客を引き込みます。特に、プラマーの演技は高く評価され、アカデミー賞のノミネートにもつながりました。

映画は、1995年に発表されたジョン・ピアースンのノンフィクション書籍を原作としており、原作の内容をベースにした脚本にリドリー・スコットが注目しました。彼はこのプロジェクトに多くの情熱を注ぎ、作品を成功へと導きました。撮影はイギリスやモロッコを舞台に行われ、リアリティを追求した映像が話題となりました。

問題とその影響

上映前に、ケヴィン・スペイシーの降板問題が発生し、急遽プラマーが代役を務めることになりました。これに伴い、プラマーは約10日間で再撮影を行い、映画は完成しました。公開直前にはキャストのギャラを巡っての騒動が起き、ミシェル・ウィリアムズとウォルバーグのギャラの差に注目が集まりました。

このような数々の事件を経て、映画は2017年12月25日に公開されました。興行成績はまずまずでしたが、批評家からは高い評価を受け、特にサスペンスが成功しているとの声が多く寄せられました。

まとめ

映画『ゲティ家の身代金』は、実際の誘拐事件を骨子にしつつ、家族間の複雑な心理や人間ドラマを深く掘り下げています。観る者に深い印象を残すこの作品は、歴史的な事件を背景にしたフィクションとして、多くの人々の心に記憶され続けるでしょう。

もう一度検索