ケヴィン・スペイシー

ケヴィン・スペイシー - アメリカの俳優とその波乱の人生

ケヴィン・スペイシー（本名：Kevin Spacey Fowler）は1959年7月26日にアメリカ・ニュージャージー州サウスオレンジで生まれました。彼は3人兄弟の末っ子として育ちましたが、1963年には南カリフォルニアに転居します。学生時代、彼はノースリッジ軍人学校に在籍していましたが、喧嘩を理由に退学になりました。その後、ロサンゼルスの高校に転校し、演技に興味を持つようになります。

スペイシーは一時期、スタンダップ・コメディアンとして活動しましたが、1979年にニューヨークに移り、ジュリアード学院に入学しました。しかし、2年で中退し、1981年にはシェイクスピア・フェスティバルで舞台デビューを果たします。1986年には映画『心みだれて』で映画デビューし、その後急速に評価を高めていきました。

特に、1991年には舞台『ロスト・イン・ヨンカーズ』でトニー賞を受賞し、アクターとしての確固たる地位を築きます。また、1995年の映画『セブン』で注目を浴び、同年の『ユージュアル・サスペクツ』ではアカデミー助演男優賞を受賞しました。この成功によって、彼は映画界での存在感を強化することになりました。1999年には『アメリカン・ビューティー』でアカデミー主演男優賞も手にしました。

スペイシーは俳優業にとどまらず、2004年には『ビヨンド the シー 夢見るように歌えば』で監督、製作、脚本、出演を一手にこなし、さらにロンドンのオールド・ヴィック・シアターの芸術監督を2004年から2015年まで務めました。彼はまた『スーパーマン リターンズ』で悪役レックス・ルーサーを演じ、その演技は高く評価されました。

しかし、スペイシーの人生は順調に見えた通常の経歴とは異なり、2017年に俳優アンソニー・ラップが彼に対するセクハラを告発したことから波乱の幕が開きました。これをきっかけに、多くの男性たちが同様の告発を行い、スペイシーは大きな注目を集めることとなります。その後、2018年には自身のYouTubeチャンネルで、彼が演じたキャラクター「フランク・アンダーウッド」として反論を試みる動画を公開しました。これに対して、多くの著名人が反応し、視聴回数は1000万回を超えました。

また、彼はセクシャルハラスメントに関する告発により映画『Gore』やドラマ『ハウス・オブ・カード』から降板させられ、撮影中だった『ゲティ家の身代金』では全ての出演シーンが撮り直される事態になりました。さらに、2018年には強制わいせつの疑惑で刑事告訴されましたが、その後、証人がいないことを理由に告訴は取り下げられました。

2022年6月には、ロンドン警視庁によって計4件の性的暴行の罪に問われましたが、2023年7月にロンドンの裁判所で全ての容疑について無罪が宣告されました。

私生活において、スペイシーは結婚歴がなく、長年にわたりプライベートな生活についてはあまり語られず、性別に関する憶測も多くありました。しかし、ラップの告発以降、彼は自身の性的指向を公表しました。このカミングアウトは賛否を呼び、セクハラ疑惑からの視線を逸らすものではないかとの批判も受けました。

全体として、ケヴィン・スペイシーはその才能に恵まれた俳優として成功を収めてきましたが、私生活における著しい告発や社会的な問題に直面し、注目を集めることになりました。

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